米欧は2021年11月に開催するCOP26までに、気候変動に関する国内対策を見直す。日本も、30年目標の強化や、サステナブルファイナンスの制度化で追随する。

 米国や欧州連合(EU)で、2030年までの温室効果ガス削減目標やその達成を裏付ける政策の強化が進んでいる。30年の排出量を抑えるほど、50年のカーボンニュートラル(温室効果ガス排出量の実質ゼロ)の実現に近づく。産業革命前と比べた世界の気温上昇を、パリ協定の目標である2℃未満や1.5℃に抑えられるとの考えがある。

米国主導で4月に首脳会合

 「私はパンデミック(新型コロナウイルス感染症の世界的流行)の制御、経済の立て直し、気候変動対策、人権平等のために行動する権利を得た」。21年1月20日、ジョー・バイデン米新大統領は就任宣言を終えた後、ツイッターにこう投稿した。そしてホワイトハウスの執務室に移り、17の大統領令と権限行使に署名した。パリ協定への復帰に関する大統領令には3番目に署名したという。

バイデン新大統領は政権発足の2021年1月20日、複数の大統領令に署名した
(写真:AP/アフロ)

 米国は同日、パリ協定に再び加入すると国連に通告した。本格復帰するのは2月19日になる。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は、「(11月の)気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までに米国が新しい野心的な30年目標を定めて、リーダーシップを発揮すると期待する」と歓迎した。

 バイデン政権は、グテーレス事務総長が期待するように30年目標を新たに検討する。大統領は選挙中、50年実質ゼロと「野心的な30年目標」の採用を公約していた。米国が15年に定めた25年目標よりも、踏み込んだ30年目標になるとみられる。

 バイデン政権は他の国にも30年目標の強化を働きかける。温室効果ガス排出量で世界2位の米国が温暖化対策に積極的になれば、他の国も対策の強化に動く可能性が高い。4月22日には、排出量の多い国の首脳を招くオンライン会合を開催する見通しだ。

 既に世界最大の排出国である中国は20年12月、30年目標を強化した。排出量世界3位のEU(英国を含む)も同月、加盟国の首脳が集まる欧州理事会が、30年目標を引き上げ、1990年比で55%以上削減すると決めた。日本でも21年1月18日、菅義偉首相が30年目標を見直し、「意欲的なものにする」と表明した。

■ 主な国の30年目標

 経済産業省の幹部は、「現在の30年目標に向けた削減のペースでは、50年の実質ゼロに到達できない」と話す。日本は15年に現在の30年目標を設定するに当たり、米欧と比べて「見劣りしない目標」の設定に腐心した。EUに続き、米国が50%削減などの目標を定めれば、日本政府も同様の水準に目標を強化する可能性がある。