EUは6月に対策強化

 ただ、単に厳しい目標を掲げるだけでなく、どのようにして目標を達成するかが重要だ。EUでは今、その道筋を描く作業が進んでいる。

EU加盟国首脳が集まる20年12月の欧州理事会(上)は30年目標の強化を決めた<br><span class="fontSizeS">(写真:EuropeanUnion)</span>
EU加盟国首脳が集まる20年12月の欧州理事会(上)は30年目標の強化を決めた
(写真:EuropeanUnion)

 現在検討されているのが、欧州排出量取引制度(EU ETS)の見直しや、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率向上を目指すEU指令の改正、乗用車のCO2排出規制の見直しなどだ。

 他に植林や農地の活用によってCO2を吸収する「土地利用」と呼ぶ手法を活用する方針も示している。欧州委員会は21年6月末までに、対策メニューを提案する計画だ。

 さらに、域内における資金の流れを持続可能性の実現に振り向けるサステナブルファイナンスの仕組みづくりを進めている。

 その1つが「タクソノミー」と呼ぶEU規則だ。EU域内で事業を展開し、この規則の対象になる金融機関や企業は22年から、気候変動への対応に関する情報開示が求められる。

 金融機関は、気候変動対策に貢献する資産の割合を年次報告などで開示する。金融以外の企業も、EUが義務付ける非財務情報の開示で、気候変動対策に貢献する事業の割合を示す。タクソノミーはどのような事業が気候変動対策に貢献するかを業種別に示すもので(下の表)、現在もEUで検討中だ。基準を示すことで、資金を誘導することが期待される。

■ EUタクソノミーによる主なスクリーニング基準案
■ EUタクソノミーによる主なスクリーニング基準案
検討中のタクソノミー「スクリーニング基準」案のうち、一部の産業の気候変動の緩和に関するものを抜粋。温室効果ガス排出量をCO2換算して示した。「EU ETS」は欧州排出量取引制度
(出所:欧州委員会によるスクリーニング基準ドラフト(20年11月20日公表)を基に電力中央研究所 堀尾健太主任研究員・富田基史主任研究員作成)

 一方で、タクソノミーに合わない事業活動は、環境に良くない「ブラウン」な活動と見なされる恐れがある。そのため、EUのみならず日本の企業は、タクソノミーの検討状況を注視してきた。気候変動のタクソノミーは20年末までに決まる予定だったが、数万件の意見が寄せられ、21年1月末時点でも検討が続く。

 日本でも金融庁が1月、投融資を日本企業の脱炭素化につなげるように方向付けるサステナブルファイナンス方針の策定に着手した。目標の強化と、その実現を支える投融資の制度づくりが国内外で加速しそうだ。