2020年のCDPで、花王と不二製油が「気候変動」「水」「森林」で「A(最高評価)」を獲得した。気候変動と水のAリストの企業数は日本が世界一となり、投資の呼び込みにつながりそうだ。

 「日本は2050年カーボンニュートラルを宣言した。気候変動をはじめとする環境対策の金融情報を投資家に開示するCDPや企業の活動は時宜を得たもの。活躍を祈念する」。2021年1月14日、CDP2020のAリスト発表会に登壇した菅義偉首相は、日本企業に熱いエールを送った。

 政府の期待通り、20年のCDPで日本企業は躍進した。Aリストの企業は気候変動で53社(前年比15社増)、水セキュリティで30社(同7社増)と国別で1位。気候変動、水、フォレストのすべてが「A」の「トリプルA」にも花王と不二製油グループ本社が初めて名を連ねた。トリプルAの企業は世界でも10社しかない。

■ CDP2020の日本企業の結果
■ CDP2020の日本企業の結果

 花王は前年「A-」だったフォレスト(パーム油)でAに昇格した。「RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証油の調達や、農家までのトレーサビリティ確保を進め、インドネシアでは小規模農園の認証取得を支援している」と花王の長谷部佳宏社長は強調する。気候変動対策でも「グループ内の16拠点に太陽光パネルを導入済み。30年には全購入電力を再生可能エネルギーで調達する目標だ」と意欲を語る。

 不二製油グループ本社は、20年にSBT(科学に基づく削減目標)の認定を取得するなどして気候変動と水で初めて「A」を獲得した。フォレストでは30年までにパーム農園までのトレーサビリティ100%の実現や、カカオ生産の児童労働ゼロを掲げ、監視の仕組みも導入している。

CDPのAリストのオンライン発表会で挨拶する花王の長谷部佳宏社長(左)と不二製油グループ本社の清水洋史社長(右)。両社は日本企業で初めて気候変動、水、フォレストのすべてでAを獲得した
CDPのAリストのオンライン発表会で挨拶する花王の長谷部佳宏社長(左)と不二製油グループ本社の清水洋史社長(右)。両社は日本企業で初めて気候変動、水、フォレストのすべてでAを獲得した
CDPのAリストのオンライン発表会で挨拶する花王の長谷部佳宏社長(左)と不二製油グループ本社の清水洋史社長(右)。両社は日本企業で初めて気候変動、水、フォレストのすべてでAを獲得した

TCFD対応が底上げ

 CDPに情報を開示した日本企業を見ると、気候変動では375社が回答した。躍進の背景にはTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)への対応が開示情報の質を引き上げたことがある。TCFDの開示項目には取締役会などのガバナンスや、シナリオ分析による影響、目標などがあり、CDPの質問はTCFDの枠組みに沿っているからだ。

 水では215社が回答した。82%の企業がサプライヤーとともに水の管理を進めている。フォレストの回答は47社と少ないが、森林への対応をメインの財務報告書で開示している企業は25社と前年から倍増した。

 CDPには世界で515機関、資産総額106兆ドル(約1京円)の機関投資家が賛同している。ESG投資が広がるなか、CDPへの情報開示が今後いっそう重要になりそうだ。