地域の太陽光発電設備を束ねて家庭に電力を供給する新サービスが始まる。人工知能(AI)で電力の需給を精緻に調整し、余剰電力を最大限に生かす。

 電力小売事業などを手掛けるアイ・グリッド・ソリューションズ(以下、アイグリッド)は、太陽光発電による電力を束ね、「CO2フリーの電力」として家庭向けに供給する。2021年1月21日からサービスを開始、最初の1年間で1万世帯との契約を目指す。

 新サービスの基盤になるのは、地域の発電所をつなぐ仮想発電所(VPP)ネットワークだ。

 同社は従来、顧客企業の工場や事業所に太陽光発電設備を設置し、発電した全電力を顧客企業に販売する電力購入契約(PPA)とエネルギーマネジメントで事業を拡大してきた。20年末時点で2万3000kW、21年中に10万kWの設置を予定しており、多くがFIT(固定価格買取制度)を利用しない「非FIT」の設備である。その一方で電力小売事業も手掛けており、これまでに延べ15 万世帯の家庭や店舗に電力を供給してきた。

 新サービスは、この2つの事業をつなぐビジネスモデルだ(図)。PPAの顧客企業からの非FITの再生可能エネルギー電力を調達し、VPPネットワークを介して家庭などの需要家に供給する。

■ VPPネットワーク上で高度な電力需給調整を実現
PPA顧客企業などの太陽光発電所から電力を調達し、VPPネットワークを介して家庭などの需要家に供給する。精緻な需給調整が求められるため、AIを活用した発電予測と需要予測によって実現する
(出所:アイ・グリッド・ソリューションズ)

AIを活用して需給調整

 「非FITの電力を束ねて需要家に供給する場合、発電側は同時同量の精緻な需給調整が必要になる。今回、AIによる高度な太陽光発電予測と電力需要予測の2つの技術を活用することでサービスを実現した」と、技術開発を担当したアイ・グリッド・ラボ取締役最高技術責任者の岩崎哲氏は話す。

 アイグリッドの新サービスは、非FIT太陽光発電の普及に弾みをつける可能性がある。これまでPPAによる設備導入では余剰電力を生み出さないように、屋根が広くても自家消費分の発電パネルしか設置しないケースが多かった。新サービスでは、同社が余剰電力を調達し需要家との需給を調整するため、屋根の発電ポテンシャルを最大限生かせる。

 「物流センターなど、施設が大型な割に電力消費が少ない事業者などをターゲットにPPA事業を拡大していく」(岩崎氏)

 将来は地域の電気自動車(EV)や蓄電池などの分散電源リソースを束ねてVPPネットワークを拡大し、送配電事業者にも電力を供給することを目指す。