機関投資家と企業が一体となって女性役員比率を引き上げている。他社の成功事例を共有するなど女性幹部候補の育成も進み始めた。

 日本企業で女性役員の比率が上がってきた。東証株価指数(TOPIX)100企業では2020年に12.9%になり、前年比2.4ポイント増えた。この比率を30年に30%にする目標を掲げる30%クラブ・ジャパンに参加する企業で見ると21.3%に達する。既に30%を超えた企業として資生堂(46.2%)やローソン(同)、新生銀行(40.0%)がある。

 TOPIX100企業で女性役員(取締役、監査役)が1人もいない企業は東レやオリンパスなど8社で、16年から3分の1以下に減った。女性取締役の登用を求める機関投資家の要請が強まっていることが背景にある。

■ 全上場企業の女性役員比率は6%
■ 全上場企業の女性役員比率は6%
出所:公開情報を基に30%クラブ・ジャパンが作成

 30%クラブ・ジャパンは、三井住友トラスト・アセットマネジメントやりそなアセットマネジメント、ブラックロック・ジャパンといった大手機関投資家25社から成るインベスター・グループを形成し、エンゲージメント(建設的な対話)を推進している。20年10月には、ジェンダーダイバーシティに関するリポートを発行し、ベストプラクティス(好事例)を開示・共有している。

 一方、企業でもジェンダーダイバーシティの推進へ向けて協働する動きが活発になってきた。

 16年から自社のノウハウを無償で提供しているP&Gジャパンは20年12月、同社の管理職向け研修プログラムを社外向けに実施した。新型コロナウイルス感染症の状況を鑑み、オンラインで開催された研修に10社が参加。グループ討論などを通じて必要な心構えや実践的なスキルを学んだ。

 採用の履歴書から性別に関する項目や顔写真を無くし、大きな話題を呼んだユニリーバ・ジャパンは同月、企業の採用担当者向けにオンラインセミナーを開催。取り組みの背景などを説明し、採用段階からの男女平等を呼びかけた。既にホンダや三井化学など12社が賛同している。

 「ダイバーシティの重要性はコロナ禍においてますます高まっている」(三井住友トラスト・アセットマネジメントの菱田賀夫社長)

 経営環境の不確実性が増す中、企業にとってイノベーション創出の源泉となるダイバーシティを高めることが欠かせなくなっている。投資家から経営者への働きかけによるトップダウンと、管理職を中心とする社員のスキルを向上させるボトムアップの両輪で取り組みを加速させる必要がある。