シェフをインフルエンサーに

食料の生産には多くのエネルギーや水を使い環境に大きな負荷を与えている。資源の枯渇も懸念される。

グウェンダル・プレネック 氏
グウェンダル・プレネック 氏
ミシュランガイド・インターナショナル・ディレクター。1979年パリ生まれ。2003年にミシュラングループ入社。ミシュランガイド事務総長などを経て18年から現職(写真:日本ミシュランタイヤ)

プレネック 食のサステナビリティは特に重要だ。人が日々口にする物をサステナビリティと結び付けることで生活に大きな影響を与えられる。

 一方でシェフは一般の人に大きな影響を与えられるインフルエンサーだと考えている。シェフたちがサステナビリティを推進することで、一般の人の食生活の在り方を変えていきたい。

 グリーンスターは20年1月にフランスで始まってから現在13カ国に広がった。世界で合計144個のグリーンスターが付いている。しかし、実際はもっと多くのレストランがグリーンスターとして評価される価値があると思っている。私たちの夢はミシュランガイドに載っている全てのレストランにグリーンスターが付くことだ。

調査員はサステナビリティの取り組みをどのように評価しているのか。

プレネック 調査員たちが現場で実際に食事をするなかで、シェフがどういったサステナビリティのアプローチを取っているかを評価する。使っている食器や食品の調達、メニュー、使用している電力、リサイクルの取り組みなどを見る。素材を全部使い切っているかといった非常に細かいところまで観察し、シェフともいろいろ話をしている。

 ただし、サステナビリティの取り組みは日々進化している。シェフは、プラスチックを使わないようにする、あるいは食品ロスを減らすためにはどうしたらいいかを考えながら奮闘している。そうした進化に注意を向けることが重要だ。調査員の食のサステナビリティに関する専門知識や考え方を常に更新していく必要がある。

 レストランは都市や郊外などいろんな所にあり、サステナビリティのアプローチは必ずしも同じではない。オープンマインドな姿勢でレストランを適切に評価し、光を当てていくことが大切だ。

トレンドの発信地、日本に期待

東京でグリーンスターを付与された店舗は6軒とまだ少ない。

プレネック 今回は6軒だったが、サステナビリティの実現に向けて努力している店舗は20店以上ある。グリーンスターとして評価されるためには、包括的なアプローチが必要だ。調達源への配慮だけ、食品ロスの削減だけ、エネルギーの節約だけでなく、全ての面でサステナビリティを追求し、一貫したプロセスで運営する仕組みが欠かせない。

 シェフだけでなくスタッフ一丸で取り組むこと。さらには、レストランで食事をする顧客がそこでの体験から何かを学び、自らの行動に反映させられるような機会を与えてくれるかも重要になる。

東京はミシュランガイドで星の数が世界で最も多い都市だが、グリーンスターについてはどうか。

プレネック 現在、グリーンスターが最も多いのはフランスだが、東京には素晴らしいレストランが集まっている。日本は食のトレンドの発信地であり、食のサステナビリティでも前線を走ってもらいたい。日本人のシェフは海外でも腕を振るっている。そうしたところからグリーンスターの影響が広がっていけばいい。