自治体や企業、大学の代表が登壇、脱炭素やダイバーシティ、SDGsを議論した。開催が3年後に迫る「2025年大阪・関西万博」の先の未来が見えてきた。

 「2025年大阪・関西万博」の開催地・大阪市を拠点に、2022年2月16日から3日間にわたり日経SDGsフェスが開催された。自治体や企業、大学などの代表が登壇し、脱炭素やSDGsなど持続可能な社会や経済の実現を目指す取り組みを議論した。

 「なんだこれは、日本や世界の未来はこうなっているのか─そんな、強烈なインスピレーションを感じられる万博にしたい」。基調講演に登壇した吉村洋文・大阪府知事は万博の構想をこう話した。そして、世界に対し「山積する社会課題を解決し、豊かな社会を実現するイノベーションが生まれる実験場としての大阪・関西」を発信したいと言う。

「空飛ぶクルマ」実現へ

日経SDGsフェス大阪関西の初日に基調講演で登壇した吉村洋文・大阪府知事
日経SDGsフェス大阪関西の初日に基調講演で登壇した吉村洋文・大阪府知事

 イノベーションの例の1つが、新しいモビリティである「空飛ぶクルマ」だ。吉村知事は25年の万博開催時に「商業ベースで実現したい」と意気込む。航空法など離着陸を含む飛行時の安全性などに関わる法規制を整備していくという。

 大阪・関西は、ライフサイエンスの研究開発も盛んだ。人工多能性幹細胞(iPS細胞)で作った人工臓器の展示なども計画している。

 加えて、仮想空間「メタバース」技術も活用する。大阪府・市は21年12月、大阪の魅力を発信する仮想都市「バーチャル大阪」を公開した。これを万博への誘客にも生かす。国や世代なども多様な参加者同士がアバター(分身)を使って交流できる機能を活用したイベントなどを開催する。大阪・関西に多数ある高い技術力を備える中小企業を紹介する場としても生かし、新たなビジネスや出会いを生む。

 吉村知事は、「若い世代の来訪者に、未来の持続可能な日本や世界はこうなっているのかと実感してもらう」と強調した。SDGsフェスにはそんな「Z世代」の代表も登壇した。

2日目のディスカッションに登壇したユーグレナ最高未来責任者(CFO)の川﨑レナ氏
2日目のディスカッションに登壇したユーグレナ最高未来責任者(CFO)の川﨑レナ氏

 2月17日、ユーグレナの2代目CFO(最高未来責任者)を務める川﨑レナ氏が登壇した。16歳の高校生でもある川﨑CFOは、社会に潜む環境や人権などの課題を「見えないもの」と表現し、「Z世代は、見えないものを大事にするところや企業に集まる。商品や企業も、見えないものにどう対応しているかに注目する」と話した。また、「価格が安い製品はなぜ安いのか、環境や人権などの面で他の人を傷つけていないか考える」と話し、ウェブサイトで閲覧できる企業情報や経営者の発言も購買意欲を左右すると明かした。

 万博をきっかけに、将来を担う世代と行政や企業によるコミュニケーションが深まりそうだ。だが、技術力や収益だけでなく、持続可能な世界を築くために誠実に行動しているかも問われることを示唆していた。