「物言う株主」が、セブン&アイHDへの攻勢を強めている。事業売却以外に様々なESGの要求を突き付け、経営陣を揺さぶる。

 アクティビスト(物言う株主)の米バリューアクト・キャピタルが、セブン&アイ・ホールディングスの経営陣を揺さぶっている。そごう・西武の売却や祖業のイトーヨーカ堂の改革を要求し、経営をコンビニエンスストア事業に集中させる主張の一環として、ESGに関しても様々な要求を突き付けている。

米バリューアクト・キャピタルがセブン&アイ・ホールディングスに送った書簡。そごう・西武の売却以外にも、ESGの様々な要求を突き付けた
米バリューアクト・キャピタルがセブン&アイ・ホールディングスに送った書簡。そごう・西武の売却以外にも、ESGの様々な要求を突き付けた

 環境面では、2021年5月に買収したコンビニ併設型ガソリンスタンドの米スピードウエイに関して、同社のスコープ3排出量が測定されていない点に言及。「米国のエネルギー転換を推進し、リーダーシップを発揮するための戦略について説明を果たしていない」と批判した。

 社会面では、170を超える子会社をまとめる経営体制がコミュニケーション不足をもたらしていると主張。社員の口コミ情報掲載サイトの声を参照し、同社グループ社員による会社評価スコアが、日本の小売業平均を下回っていると指摘した。

 ガバナンスでは、取締役会の独立性について批判している。社内取締役7人が子会社の執行役または取締役を担っており、子会社との利益相反の恐れがあるとし、取締役の過半数を独立社外取締役にすべきとした。また、株主や投資家との連絡役を担う筆頭独立社外取締役の選任と公表も求めた。

対話姿勢にしびれ切らす

 事業の多角化が進めば、対応すべきリスクが増える。これをESGにおいて主張した形だ。バリューアクトは事業改革を実行することによって、中期経営計画で想定する1株当たり利益を1.4倍の748円に高められると主張している。

 バリューアクトは、経営陣に対する表立った批判や要求はせずに、経営陣と粘り強く対話する友好的なアクティビストと言われてきた。しかし今回は、要求を「公開書簡」という形で公開し、他の株主にも意見を求める異例の対応に踏み込んだ。「パフォーマンスじみた表面的な対話で批判を回避している」と、セブン&アイHDの対応にしびれを切らした格好だ。

 対するセブン&アイHDは、「コーポレートガバナンスが適切に機能した状況のもとで経営を遂行」しており、「2021年1年間で十数回の対話を実施」していると反論。これを受けてバリューアクトは、「代替的な対応を検討する必要がある」として、圧力を強める構えを見せている。

 22年5月に予定しているセブン&アイHDの定時株主総会で、バリューアクトが経営陣の退任や独自の取締役候補の擁立などを提案する可能性が高まっている。