UNEP FIが持続可能な海洋資源活用のためのガイダンスを発行した。海に囲まれた日本では、浅海生態系の「ブルーカーボン」に期待が集まる。

 国連環境計画金融イニシアチブ(UNEP FI)は2022年3月3日、ブルーファイナンスのための投資ガイダンス「DIVING DEEP」を発行した。生態系に配慮した沿岸インフラの建設や、海洋プラスチックごみの発生を防ぐ廃棄物処理事業などへの投資を促している。

 海洋資源を保全しつつ、持続可能な経済活動を行うことを「ブルーエコノミー」と呼ぶ。漁業や海運業、洋上風力発電、観光業など幅広く、そのための資金調達を「ブルーファイナンス」という。18年3月に欧州委員会が「持続可能なブルーエコノミーファイナンス原則」を公表したが、市場はまだ広がっていない。

 「海洋の保全や再生は利益が見込みやすい事業ではなく、投資の仕組みや規制も整っていなかった。UNEP FIが持続可能なプロジェクトの見極め方やベストプラクティスを提示することで、投資家はブルーファイナンスに取り組みやすくなるのではないか」と、笹川平和財団海洋政策研究所のマイケル・黄研究員は期待する。

 ブルーファイナンスの実施例としては、18年10月にインド洋に浮かぶ島国セーシェルが発行した世界初のソブリン・ブルーボンド(利率6.5%、総額1500万ドル)が代表的。海洋保護区域の拡大やIUU(違法・無通報・無規制)漁業の取り締まり、観光業振興などに活用された。

潜在力高いブルーカーボン

 日本のブルーファイナンスへの取り組みもこれからだ。過去の投資対象の多くが途上国で、投資に対するインパクトを評価する手法や実証データが整備されていないことが、投資家の関心を呼び込めない理由だ。

 だが黄研究員は、「海に囲まれている日本は、ブルーファイナンスの大きな可能性を秘めている」と話す。

 特に注目を集めているのが、コンブやワカメなどが生息する浅海生態系によるCO₂吸収量「ブルーカーボン」だ。海上・港湾・航空技術研究所の桑江朝比呂沿岸環境研究グループ長らの推計によれば、日本の浅海における年間のCO₂吸収量は平均値で132万t、上限値は404万tに達し、後者は日本全国の森林によるCO₂吸収量の約7%に匹敵する。

北海道の海に生息するコンブ。浅海生態系はブルーカーボンの宝庫<br><span class="fontSizeS">(写真:マリンプレスジャパン/ アフロ)</span>
北海道の海に生息するコンブ。浅海生態系はブルーカーボンの宝庫
(写真:マリンプレスジャパン/ アフロ)

 ブルーカーボンによる将来的な炭素クレジットへの期待や産業振興を狙い、北海道ではコンブ養殖の拡大を検討する自治体も出てきた。投資家は足元のブルーファイナンスの可能性にも注目すべきだろう。