COP15の後の11月に開催される気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)の議長国は、英国だ。同国は20年11月、パーム油や大豆などの森林関連製品の調達が持続不可能な企業を規制する国内法「森林デューデリジェンス法」を議会に提出した。英国政府はCOP26で「自然のキャンペーン」を予定しており、その中心に「持続可能な土地利用と森林関連製品取引の対話」を据えている。気候変動と生物多様性の両方に関わる森林や土地利用の議論で主導権を握り、金融の流れを変えることが狙いだ。

■ 生物多様性・自然資本を巡る国連や欧州の動き
注:IPBESとは、生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学-政策プラットフォーム
[クリックすると拡大した画像が開きます]

日本の参加はわずか2機関

 金融機関も既に動き始めている。欧州委員会は企業のイニシアティブ「EUビジネスと生物多様性プラットフォーム」の下に、自然資本への投資を議論する「EU生物多様性と金融コミュニティ」を設置した。このコミュニティが中心となり、20年9月の国連総会で「生物多様性のための金融誓約」が立ち上がった。

 ESG方針に生物多様性の基準を盛り込んで企業とエンゲージメントし、投融資の際に生物多様性へのプラスとマイナスの影響を評価し、その結果を開示することを、24年までに実施すると誓約するものだ。オランダの運用会社ロベコや農業系銀行ラボバンク、投資銀行ABNアムロなど37社が誓約し、資産総額は4兆8000億ユーロ(約620兆円)を超える。ロベコの担当者は「生物多様性のインパクト評価をするため既に投資先企業に原材料のトレーサビリティ情報の開示を求め、対話を強化している」と話す。

 国連総会では自然関連の財務リスクを開示する枠組みをつくる「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の非公式作業部会も発足した。今後2年かけて開示内容やデータに関する枠組みをつくる。

 73機関から成る非公式作業部会には英、仏、蘭の政府に加え、英スタンダード・チャータード銀行や仏BNPパリバなど欧州の金融機関、英小売りテスコやスウェーデンH&Mなどの企業が名を連ねる。かたや日本の参加はわずか2機関。TNFD提言に基づく開示が始まれば、日本企業は生物多様性の投融資で後れを取りかねない。自然資本の指標や枠組みづくりの包囲網ができ外堀が埋められつつある。企業はその深刻さを認識する必要がある。