金融庁が情報の拡充求める

 ESGの大ヒット投信が誕生し、この先、第二、第三のヒットを狙う商品が出てくるだろう。ここに金融庁が目を光らせている。ファンドマネージャーの滝口氏は、「金融庁から『前シリーズとの違いを明確にしてほしい』という指摘を受けて情報開示を改善した」と打ち明ける。

 この指摘を受けて同社は、月次レポートに記載する上位銘柄のそれぞれについて「ESGへの取り組み」の説明を追加。運用プロセスのどの場面でどのようなESG評価をしているのかという情報も充実させ、前シリーズとの違いを明確にした。

 金融庁が問題視しているのは、ESGの「実態」である。運用プロセスにESGの視点がどう組み込まれているのか、銘柄企業はどんなESGの取り組みをしているのかといった点だ。指摘した金融庁の担当者は、「今は明確なルールがない。市場の監視と対話を始めている」と話す。

■ 「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド」の組み入れ上位銘柄
銘柄の選択方法や組み入れ銘柄について、ESGに関する説明を拡充した
(出所:アセットマネジメントOne「グローバルESGハイクオリティ成長株式ファンド マンスリーレポート」から抜粋)
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 金融商品において、ESGを装った「ESGウオッシュ」を防ぐ取り組みは、各国で始まっている。

 進んでいるのが欧州だ。欧州連合(EU)は21年3月10日、「サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)」を発効した。EU域内で投資運用業務を行う場合、ESGに関する情報の契約前開示などを求めている。

 米国は模索段階だ。米国には、ファンドの名称が特定の種類、産業、国などへの投資を示唆している場合、80%以上をその名称が示す資産に投資しなければならない「ネームズ・ルール」と呼ばれる規則がある。米国証券取引委員会は20年3月、「ESG」や「サステナブル」といった名称にもこの規則を当てはめるべきかについて意見を募集した。

 日本は模索が始まった段階だ。金融庁は20年6月、投資信託の課題などをまとめた「資産運用業高度化プログレスレポート2020」を発表した。そこで、「SDGs・ESGの日本の資産運用業界への影響」を今後の課題に挙げている。今回のESG投信への指摘はこの取り組みの一環だ。

 金融庁の担当者は、「昔の投資信託を集めてESGキャンペーンと称して販売する手法なども注視している」と話す。ESGの名称が付いた金融商品を手掛ける証券会社や資産運用会社は、顧客への分かりやすい情報開示が求められる。