原口 真/TNFDタスクフォースメンバー、MS&ADインシュアランス グループ ホールディングス TNFD専任SVP

「TCFDの自然版」であるTNFDの開示枠組みの草案が明らかになった。企業は自然のリスクが事業や財務計画に与える影響の開示が求められる。

 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)は2022年3月、自然に関する情報開示の枠組みである「TNFDフレームワーク」の最初のベータ版(試作版)を発表した。

 TNFDは、企業や金融機関などの市場参加者が自然関連のリスクと機会を管理し、情報開示するための枠組みを開発するイニシアティブだ。企業などに自然に関する情報開示を促し、世界の金融の流れを自然にとってマイナスからプラスの状態に移行させることを目指している。

 TNFDは21年6月に発足し、同10月から枠組みの開発に乗り出した。企業や金融機関のフィードバックを受けて枠組みを進化させる「オープンイノベーションアプローチ」を採っている。

TCFD、ISSBと整合性

 その第1弾が今回のベータ版だ。3つの主な要素で構成される。

■ TNFD枠組みのベータ版の構成
■ TNFD枠組みのベータ版の構成
出所:TNFD, 2022
注:掲載した図はベータ版エグゼクティブサマリー(日本語版)から一部用語を修正している

 1つ目は、市場参加者が自然を理解するための基本的な概念や用語の定義。2つ目は、肝となるTNFD開示枠組みの草案。3つ目は、企業や金融機関が自然関連リスクと機会を評価し、企業戦略やリスク管理プロセスに組み入れて報告や開示をする際に役立つ「ハウツー」ガイダンスだ。自然の情報は場所(ロケーション)にひもづいている。その評価を助ける「LEAP」と呼ぶガイダンスを付けている。

 TNFDは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)と整合させることで、自然と気候の統合的な開示を促すことを意図している。様々なマテリアリティ(重要課題)の基準や規制要件に対して企業が開示できる柔軟性を持たせるため、国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)が開発中のサステナビリティ基準のためのグローバルなベースラインと整合することも目指す。

 TNFDのベータ版の重要なポイントを4つ紹介する。