花王が満を持して、主力の洗剤容器に100%再生プラスチックを採用した。ESG経営で生み出した研究成果を旗艦商品で世に問う。

 花王は2021年4月10日に衣料用洗剤「アタック ZERO(ゼロ)」を改良新発売する。今回の改良では、洗浄力の強化や抗菌、ウイルス除去効果に加えて、環境への貢献を強く打ち出している。その1つが、100%再生プラスチックでできた容器の採用である。

100%再生プラスチックの容器を採用した「アタック ZERO」<br><span class="fontSizeS">(写真:花王)</span>
100%再生プラスチックの容器を採用した「アタック ZERO」
(写真:花王)

 同社の衣料用洗剤の本体容器に採用するのは初めてだ。これまで、ドイツや台湾といった海外では100%再生プラの容器をシャンプーなど一部の商品で採用していた。

 100%再生プラを使った容器を採用する企業は増えているが、花王のように販売量が多い旗艦商品に採用するケースはまだ少ない。今回、容器の安全性と安定供給を確保できたため採用を決断した。

 再生プラは一般にバージン(新品)のプラスチックに比べて割高な点も普及の障害になっている。今後は再生プラの調達コストをさらに抑えることが課題になる。自社商品への採用を広げるとともに、他社にも採用を働きかけるなどして、再生プラの市場を拡大することも1つの有効なアプローチだろう。

 そこで、花王はアタックゼロに加え、4月に改良新発売する食器用洗剤「キュキュット Clear(クリア)泡スプレー」にも100%再生プラ容器を採用する。国内については、25年までに使用量の多い日用品のPET(ポリエチレンテレフタレート)製ボトルを全て再生PETに切り替える計画である。

持続可能な洗剤原料で稼ぐ

 アタックゼロで打ち出す環境貢献はもう1つある。「バイオIOS」と呼ぶ主成分の洗浄基剤(界面活性剤)で、アブラヤシの実からパーム油を取り出す際の搾りかすを原料にしたことだ。洗浄に不向きなためこれまで洗剤に使われることが少なかったが、抽出した油脂を洗浄に適した成分に転換する技術を開発した。

 世界では今後、人口増加で洗剤の使用量がさらに増える。1本のアブラヤシから作れる界面活性剤の量を増やすことで、森林破壊の抑制につながる。バイオIOSは自社商品への採用を広げる他、外販や技術のライセンス提供も視野に入れる。

 長谷部佳宏社長は、「バイオIOSの底力をまだ見せていない。結構な投資をしたが、その何倍も返ってくるぐらいのインパクトをこれから世の中に広めていく」と意気込む。「10年、15年前からESGへの投資を積み重ねている。そのリターンを回収しにいく」。

 ESG経営を推進している花王が業績を飛躍的に伸ばすきっかけをつかめるか。アタックゼロがその試金石となりそうだ。