太陽光発電の自家消費分に対して独自ポイントを付与する。再エネ電力を束ねてグリーン電力証書を発行し、企業に提供する仕組みにも着手する。

 伊藤忠商事は、2021年5月に家庭用蓄電システムの新製品「Smart Star 3」を発売するのに合わせ、太陽光発電の自家消費分を環境価値としてポイントを付与するサービスを始める。当初提供するのは独自ポイントで、アマゾンや楽天、航空会社などが提供するポイントと交換できる。

 発電事業者による再エネ電力は、電力の他に「環境価値」が切り出され、グリーン電力証書や非化石証書などとして活発に取引されている。

 一方、「家庭で生み出される再エネ電力は、環境価値が顧みられず埋もれている。この価値を取り出し、家庭(需要家)に還元する仕組みとして、消費に使えるポイントサービスを考えた」と、エネルギー・化学品カンパニー次世代エネルギービジネス部長の村瀬博章氏は語る。

 Smart Star 3には計量法に適合した電力計を搭載し、第三者機関による認証を受けられるようにした。取り出した環境価値は、2つの方法でポイント化する(下図)。当初は、①電力消費量に応じて独自ポイントを需要家に付与。さらに②グリーン電力証書を発行して温暖化対策に取り組む企業などに提供するとともに、見返りとして企業が販促ポイントを需要家に付与する仕組みも構築。伊藤忠グループのファミリーマートなどが参画を検討している。

■ 家庭用蓄電システム「Smart Star 3」を使ったポイントサービス
2つの方法で家庭(需要家)にサービスを提供。
①伊藤忠グループ会社のグリッドシェアジャパンがポイントを付与。
②グリーン電力証書を発行して温暖化対策に取り組む企業に提供、見返りとして企業が販促ポイントを付与。将来は取引市場への参画も視野に入れる
(出所:伊藤忠商事)

 「家庭で日々再エネ電力を自家消費するだけでポイントが貯まり、それを使って近くのコンビニなどで買い物ができる。一方、企業は温暖化対策と販促とを両立できる。いずれにとってもメリットは大きい」と、村瀬氏は説明する。

参加企業の開拓が鍵

 家庭用蓄電池の国内導入量は約50万台。FIT(固定価格買取制度)の買取期間が終了した「卒FIT」の家庭を中心に導入が増えている。蓄電池を設置した家庭の太陽光発電による電力消費量は月当たり約300kWh。大手電力会社の1kWh当たりCO2排出係数を0.5kgとすると年間のCO2削減量は約1.8tになる。伊藤忠は今後数年間で蓄電池を約10万台売り上げたいとし、実現すれば約20万tのCO2削減に貢献する。

 再エネ電力のポイント還元率は企業が独自に設定できる。「企業は販促効果を見込んで、市場レートよりも有利な還元率を設定すると期待している」と村瀬氏。家庭と企業とを環境価値で結び付ける新たなスキームの成否は、参加企業をいかに広げられるかが鍵になりそうだ。