安達 功/日経BP 総合研究所 フェロー

世界的に知られた建築家から身を転じ、環境シンクタンク「Architecture 2030」を創設したエドワード・マズリア氏。2021年11月にはCOP26のサイドイベントで米国建築家協会とともに「2030年65%削減」のアクションに署名した。海外の動きは急だ。情報をキャッチアップして備えないと、日本だけが取り残されかねない。

 米国サンタフェを拠点に活動するシンクタンク「Architecture 2030」は、世界中の建築セクターにかかわる、すべての建築家、エンジニア、プランナー、および個人に、新しいプロジェクト、改修、景観およびインフラストラクチャーをゼロカーボンに設計するよう求めている。

 このシンクタンクを率いるエドワード・マズリア氏は、21年8月に公開したリーダーシップ宣言で「今一緒に行動すれば、世界を変えることができます」と訴えた。「コミュニティが今から一緒に行動すれば、気候変動の最悪の影響を緩和し、さらには防ぐことができます。私たちの建築セクターの使命は、世界をより良い場所にすることであり、これまでもそうでした。今こそ、この惑星の生命を守るためにステップアップして支援するときです」(同氏)。

エドワード・マズリア(Edward Mazria)氏
エドワード・マズリア(Edward Mazria)氏
米国建築家協会フェロー、Architecture2030 CEO
国際的に認められた建築家であり再生可能エネルギーの研究者。21世紀の問題に対するソリューションを開発するシンクタンク「Architecture2030」を創設し、2030年までにすべての新築・改修をカーボンニュートラル化する「2030チャレンジ」を作成。米国各地の都市と協力しながらプログラムの実践に向けた活動を行っている。一連の活動により21年の米国建築家協会(AIA)ゴールドメダルを受賞

 同氏は世界的に知られた建築設計者だった。1979年に若くして「パッシブソーラーハウスの設計技法」という今でも環境設計者のバイブルとなっている書籍を執筆し、ノースカロライナの公立図書館からニューメキシコのリオグランデ植物園などの建築プロジェクトで数々の受賞歴を重ねてきた。

 そのエドワード・マズリア氏が建築設計事務所を閉じ、Architecture 2030のCEOに身を転じて活動していることは、日本建築学会会長、早稲田大学の田辺新一教授に教えてもらって初めて知った。

日本だけが取り残されかねない

 「安達さん、コロナ禍などの影響もあって情報が入りにくくなっているけど、欧州だけでなく、米国の活動もかなり進んでいます。しっかり情報をキャッチアップして対応していかないと、日本だけが取り残されかねません」と田辺教授は言う。

 マズリア氏率いるArchitecture 2030は21年8月のリーダーシップ宣言後も精力的に活動し、同11月10日には米国建築家協会とともにCOP26(気候変動枠組み条約第26回締約国会議)の公式サイドイベントを開催して1.5℃の行動を達成するための準備と団結を示した。ここで米国建築家協会の会長は、1.5℃目標を達成するために建築設計事務所や建設会社などが30年までに温室効果ガス排出量を65%削減するアクションに署名した。

 22年5月12日に開催する日経SDGsフェス「グリーンアーキテクチュア会議」では、エドワード・マズリア氏を招いてArchitecture 2030の活動、COP26後の次のステップへのアクションについて聞くほか、日本建築学会田辺会長を中心としたディスカッションで、ゼロカーボン社会の実現に向けた「日本型モデル」を探る。

グリーンアーキテクチュア会議「ゼロエネルギー化と建築の社会貢献」
日時:
2022/5/12(木)9:00~12:30 予定
開催形式:
会場聴講+オンライン聴講のハイブリッド開催
参加費:
無料(事前登録制)

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