20年をかけてフリーザーで使用するフロン冷媒を自然冷媒へ転換。脱フロンの取り組みが電力消費25%削減という副次効果をもたらした。

 味の素冷凍食品は2021年3月末、国内全7工場のフリーザー(製品を冷凍する設備)の特定フロン(HCFC)冷媒を全廃、アンモニアと二酸化炭素を混合した自然冷媒への転換を完了した。06年に宣言した「20年度までの脱フロン化」を達成した。

 フロンガスなどオゾン層破壊物質の生産や消費を規制する国際条約「モントリオール議定書」では、20年までにHCFCの生産中止を定めているが、搭載機器の使用中止は求めておらず、現在でも業務用フリーザーや家庭用のエアコンなどに使用されている。

 同社は2000年時点で73tの特定フロンを保有し、その96%がフリーザーの冷媒だった。そこで01年に国内でフロン回収・破壊法が施行されたのを機に、脱フロン化の取り組みを本格化した。

 課題は、高額な設備投資。01年当時、国内全9工場で稼働するフリーザーは47基あった。これを自然冷媒に置き換えた場合の投資概算は約140億円。投資額を抑制するため、ラインの集約とフリーザー基数の削減に着手した。

 「各ラインの設備を増強して時間当たりの生産能力を高めたり、従業員シフトを見直して設備の稼働時間を延長したりといった工夫を重ねた」(吉野正二生産戦略部長)

 最終的に、計画着手から完了までの20年間で、工場の数は9カ所から7カ所に集約。フリーザーの数は特定フロン冷媒の47基から自然冷媒の27基へと転換・集約した。投資総額は約90億円となり、当初概算よりも49億円削減した。

■ フリーザーのフロン冷媒を自然冷媒へ転換
■ フリーザーのフロン冷媒を自然冷媒へ転換
20年をかけて、フリーザーの数を特定フロン冷媒使用の47基から、自然冷媒使用の27基へ転換・集約した
(出所:味の素冷凍食品)

脱フロン化と省エネを両立

 脱フロン化の取り組みは、省エネという副次効果をもたらした。フリーザーの電力消費を約25%削減、年間1億円のコスト削減を実現した。

 「省エネ効果を高めるため、1台のフリーザーに複数の冷凍機を組み合わせるマルチユニット方式を導入。生産量に応じ冷凍機の稼働台数を最適化する仕組みをつくった。フリーザーの庫内温度を段階的に下げる負荷変動抑制などにも取り組んだ」と吉野部長。今後は、国内外の冷凍冷蔵庫に使用している約3tの代替フロン(HFC)冷媒を30年度までに自然冷媒に切り替える計画だ。

 「脱フロン化への先進的な取り組みは当社のブランド価値を高める」と黒崎正吉社長は記者会見で発言。業界の脱フロン化の推進に向け、他社への技術協力に意欲を見せた。