ロシアのウクライナ侵攻を契機に軍需産業への投資が見直されている。ESGは戦略的自律の上に成り立つという事実が浮き彫りになった。

 戦争は大きな方針転換をもたらす。スウェーデン金融大手SEBはわずか1年前、サステナビリティに関する投資方針を新たに採用し、自社ファンドの投資対象から軍需関連企業の株式を排除することを決めた。だが先日、この方針を覆し、2022年4月1日以降は同社が運用する6本のファンドで軍需産業への投資を認めると決定した。

軍需産業への投資に方針転換

 SEBは、最終的にロシアのウクライナ侵攻につながった「ここ数カ月の深刻な安全保障情勢と地政学的緊張の高まり」を理由に、22年1月に投資方針の見直しに着手したという。

 北欧地域で最大級の金融機関であるSEBが軍需関連企業を敬遠したのは、決して特別なことではない。ここ数年、武器貿易を巡る論争に巻き込まれることを恐れ、投資家や金融機関は軍需産業への投資に関わらないようにしてきた。

 金融機関や資産運用会社に対してESGに関する指針を順守するよう求める圧力が強まる中、軍需関連企業から投資資金を引き揚げたり、取引を停止したりする動きは加速している。この傾向は特に欧州で顕著だ。

 例えば、フランスの防衛・電子機器大手タレスでは16年以降、欧州(フランス以外)の投資家が保有する株式の割合が半減している。また、ドイツの防衛・自動車関連大手ラインメタルの最高経営責任者(CEO)は22年1月、長年の取引銀行であった同国のバイエルンLBとバーデン・ビュルテンベルク州立銀行(LBBW)が、同社との取引停止を決定したと明らかにした。

 だが現在、欧州連合(EU)の国境沿いでロシアとウクライナの攻防戦が繰り広げられる中、そうした姿勢は変わりつつある。21年、EUは「軍需産業を社会的に有害な産業に分類する」重要性を唱えたが、この提案は見送られたようだ。欧州委員会が22年2月に発表した社会タクソノミー(持続可能な社会的事業の分類基準)に関する最終報告書には、この文言が盛り込まれていなかった。

 軍需関連企業はそうしたESG重視の分類について、特にサプライチェーンを構成する中小企業にとって資本調達の足かせとなる可能性があると警鐘を鳴らしてきた。また、すでにドイツ、ベルギー、オランダ、スウェーデン、フィンランドの銀行は、軍需関連事業の収益が全体のわずか5~10%を占めるにすぎない企業でさえも、取引関係を断ち切っていると指摘する。

 この問題に取り組む欧州委員会の作業部会は、軍事能力についてより大きな戦略的自律の重要性を唱える一方で、軍需産業が持続可能ではないと一蹴することの矛盾を認めているようだ。むしろ、武器の製造、使用、配備に関する国際条約に違反した場合にのみ有害と分類すべきだという姿勢を欧州委員会が示すのは、当然のことだろう。

 報告書は欧州委員会のために作成された。だが同時に、欧州議会の外交問題委員会は、新しいガイドラインがEUにとって「極めて重要である」軍需産業の資金調達に支障をきたしてはならないと強調している。