主力商品を通じて、企業の存在意義「パーパス」を訴求する。パーパスへの共感を通して顧客をつかみ、販売拡大を狙う。

 キリンビバレッジが、企業の存在意義「パーパス」を販売戦略に組み込んだ「パーパス・ブランディング」を強化している。

 キリングループがパーパスを表明したのは2019年。「健康」「地域社会・コミュニティ」「環境」「酒類メーカーとしての責任」の4つを柱に掲げた。新型コロナの影響を受けて企業の社会的な存在意義が問われ、パーパスを表明する企業が増えている。キリンビバレッジは商品と営業活動でパーパスを前面に打ち出す。

 キリンビバレッジ営業本部営業部長(現・首都圏地区本部長)の明月岳人氏は、「パーパスへの共感を、新規顧客獲得と販売拡大につなげていく」と話す。

 健康面の旗艦商品として、免疫活性化の効果をうたった機能性表示飲料「イミューズ」を位置付けた。社会面の旗艦商品は、「午後の紅茶」である。同社はスリランカ紅茶農園に対してレインフォレスト・アライアンスの認証取得を支援しており、地域社会との共生に力を入れている。環境面の旗艦商品が緑茶ブランド「生茶」だ。100%再生樹脂を使用したペットボトルを採用し、リサイクルの取り組みをアピールしていく。

■ パーパスで掲げる「健康」「社会」「環境」を商品で訴求
商品ブランド戦略にパーパスを取り込み、パーパスへの共感を通じて販売拡大を狙う
(写真:キリンホールディングス)

パーパスを営業ツールに

 一般消費者だけでなく、企業へもパーパスを通じた販売を実践する。

 流通や小売り企業に対しては、顧客の興味や関心を聞き、健康・社会・環境のキーワードが出たときに、顧客への訴求と販売につながるよう店舗を支援する。

 一般企業に対してもその企業の課題を聞き、商品を通じて課題の意識付けや解決につながる取り組みができないかを探る。こうしたやり取りを、商品の買い取りや自販機売り上げにつなげていく。

 このとき営業部員が活用するのが「SDGs提案マップ」と呼ぶ提案書だ。顧客の課題や困り事を整理し、商品を通じた解決を提案する。パーパスとSDGsが、営業ツールの役割を果たしている。

 コロナ禍でも健康や環境を打ち出した商品は好調だ。同社調べでは、国内清涼飲料市場が前年比7%減だった中、「生茶」の販売数は20年比2%減にとどまり、「イミューズ」は同136%増だった。パーパス・ブランディングでこの流れを加速できるか。理念を具体的な形で、社員一人ひとりが実践できるかが試される。