では、気候変動リスクをどのように開示しているのか。パリ協定に基づく「2℃シナリオ」など複数のシナリオに沿って分析・開示している割合は、日本が36%で2位の米国(15%)に2倍以上の差をつけた。不確実性が高い気候変動リスクへの対応は、単一のシナリオによる分析では不十分とされている。シナリオ分析に積極的な日本企業は、投資家からも高く評価されそうだという。

■ 気候変動リスクに関し、2つ以上のシナリオに沿った分析を開示している割合
■ 気候変動リスクに関し、2つ以上のシナリオに沿った分析を開示している割合

 ただし、シナリオ分析に明確なタイムラインを設定している割合で見ると、日本は25%で2位となり相対的に低くなっている。KPMGジャパンは、条件を設定するのに必要な情報が十分でないことがタイムラインの設定を難しくしているとみる。

■ シナリオ分析に明確なタイムラインを含んでいる割合
■ シナリオ分析に明確なタイムラインを含んでいる割合

 なお、2050年やその先も見据えたシナリオに基づいて報告している企業は、世界250社中20社で、そのうち約半数が金融業だった。

戦略の開示で遅れ

 続いて脱炭素戦略を開示している割合では、ドイツが88%で2位以下に大差をつけた。脱炭素の目標を達成するためには、具体的な戦略に基づいて温室効果ガスの排出を段階的に減らしていくことが重要になる。

 ドイツ以外の国については、目標をどうやって達成するかを説明している企業はごくわずかである。脱炭素戦略を開示している割合は、フランスが17%、米国が14%と10%台にとどまっている。日本はさらに低く11%という結果だった。中国に至っては、脱炭素戦略を開示している企業は、今回の調査対象で1社もなかった。

■ ネットゼロ目標に向けた脱炭素戦略を開示している割合
■ ネットゼロ目標に向けた脱炭素戦略を開示している割合

 これらの結果から、気候変動リスクについて、日本企業はトップの認識が高まっている上、リスクの分析・開示も進んでいるといえる。一方で、脱炭素に向けて具体的な戦略や実行計画の策定が遅れており、早急な対応が求められそうだ。