CDPは気候変動、水、森林の次のテーマとして生物多様性の質問を始める。4テーマを統合した質問書を世界の企業に送付し、投資家から高まる要望に応える。

 CDPは、2022年から生物多様性の質問を始めると発表した。「気候変動」「水セキュリティ」「フォレスト」に「生物多様性」を加え、4テーマを統合した1つの質問書を22年から世界の企業に送付する。「生態系が健全でないと製品・サービスを生み出せず、経済にも影響する。仏BNPパリバなど投資家や金融機関から生物多様性の情報を求める声が増えている」とCDPエグゼクティブ・ディレクターのニコレット・バートレット氏は背景を説明する。

 統合質問書は、4テーマのそれぞれで「ガバナンス」「リスクと機会」「事業戦略」「目標と実績」などを尋ねる。セクターごとに大きな影響を及ぼす項目を特定した「インパクトマップ」を作り、回答すべき項目や深掘りして聞く項目を指定する。

 生物多様性に関する質問は、22年は大まかなものだが、25年にかけて徐々に深掘りしていく。

 ガバナンスでは、「取締役会レベルで環境を監督しているか」という質問があり、「気候変動」「水」「森林」「生物多様性」のチェックボックスがある。生物多様性にチェックするとさらに深掘りした質問が続く。事業戦略では、生物多様性のビジョンや戦略があるか尋ねる。目標では、科学に基づく目標を設定するネットワーク組織「SBTN」が定める「自然SBTs(SBTs for Nature)」と連動した質問になる予定だ。SBTNは企業と共同で、自然に関する測定可能な目標や指標、ツールを開発しており、22年までに完成させる。

■ 「CDP2022統合質問書」のイメージ(本誌作成)
注:SBTN:science based targets network

CDP2022では生物多様性のテーマが加わり、1つの統合質問書になる(22年の生物多様性は大枠の質問のみ)。セクターで質問内容が異なり、あるセクターは青色のところだけ質問される

24年頃から「CDP海洋」も

 CDPは今後3年をめどに、「海洋」にもテーマを拡大する。「海洋」では、水産資源やプラスチック汚染など海洋に関する全領域をカバーする予定で、農業・水産業セクターを回答企業に追加する。

 CDP2022では、気候変動、水セキュリティ、フォレストの各スコアを発表するが、生物多様性の採点はまだ行わない。「将来的には統合した『環境スコア』を算出するかもしれない」とバートレット氏は言う。

 CDPの質問書は「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」提言とも足並みをそろえる形にするという。CDP生物多様性が始まり、TNFDとの連携も見えてきた今、企業活動が自然に与えるインパクトや自然から受ける影響を評価し開示する準備を急がなければならない。