経済産業省が5月13日、「人的資本経営の実現に向けた検討会」の報告書として「人材版伊藤レポート2.0」を公表した。2020年9月発表の「人材版伊藤レポート」から1年半ぶり。前レポートの議論を踏まえ、CHRO(最高人事責任者)設置やリスキリング推進など、企業が実行すべき具体的アクションとともに、先進企業の事例を紹介したことがポイントだ。

(写真:123RF)
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 20年発表の「人材版伊藤レポート」(「持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会報告書」の通称)の特徴は、経営陣、取締役会、投資家の役割を明らかにした上で、今後の企業変革の方向性として「経営戦略と人材戦略の連動」など3つの視点と、「動的な人材ポートフォリオ」など5つの共通要素を明示したことだ。

 この後コロナ禍、社会のデジタル化や脱炭素移行などの環境変化により、従業員同士のコミュニケーション不全、デジタル人材不足、従来スキルの陳腐化など、人的資本に関する課題がますます顕在化してきた。

 一方で人的資本の情報開示に関する動きも進展した。ルール化が進んでいるのが欧米だ。米国証券取引委員会(SEC)は21年6月、注目すべき規制分野に「社員や取締役の多様性」など人的資本の情報開示を挙げた。同年11月にはIFRS(国際財務報告基準)財団が国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)を設立し、非財務情報の開示基準策定を進めている。国内では21年6月のコーポレートガバナンス・コード改訂で、企業の中核人材の多様性確保や人材育成方針の開示など、人的資本に関する記載が盛り込まれた。

 こうした流れを受け今回の「人材版伊藤レポート2.0」では、人的資本経営についての企業の具体的な取り組み事例が示された。