「人材版伊藤レポート2.0」作成に当たり経産省では21年7月に「人的資本経営の実現に向けた検討会」をスタートし、一橋大学CFO教育研究センター長の伊藤邦雄氏を座長に、22年3月まで9回にわたる検討会で議論を重ねてきた。

 同会の委員にはアステラス製薬、キリンホールディングス、 KDDI、サイバーエージェント、ソニーグループ、SOMPOホールディングス、三菱ケミカル、ロート製薬などの最高人事責任者のほか、ニッセイアセットマネジメント、ブラックロック・ジャパンなどの投資担当者も名を連ね、正に企業と投資家が一堂に会して人的資本経営を議論する場となった。

 検討会では「人的資本経営の実現には、実践と開示の両輪が必要」という趣旨の下に「人材版伊藤レポート2.0」を作成し、前述の「3つの視点・5つの共通要素」の枠組みに基づき、企業が今後実行すべき具体的な取り組みや工夫を明示している。

 同レポートでは、3つの視点のうち、1つ目の「経営戦略と人材戦略の連動」に関する具体的施策として「企業内にCHROを設置し、人的KPI(重要業績評価指標)を設定する」「サクセッションプランの具体的プログラム化」など、2つ目の「As is - To beギャップの定量把握」に関する施策に「動的な人材ポートフォリオ計画を踏まえた目標や達成までの期間の設定」、3つ目の「企業文化への定着」の施策として「企業理念、企業の存在意義、企業文化の定義」などを挙げた。

 5つの共通要素である「動的な人材ポートフォリオ」「知・経験のダイバーシティ&インクルージョン」「リスキル・学び直し」「従業員エンゲージメント」「時間や場所にとらわれない働き方」に関しても、それぞれを推進するための取り組み例を事細かに紹介している。具体的には、リスキリングと処遇/報酬の連動、従業員のエンゲージメントレベルの把握と対応、ポジションの公募制化、副業・兼業の推進、Well-being視点の取り込みなどが挙げられる。