今回経産省が公表した「実践事例集」では、人的資本経営の先行企業19社の施策のポイントを紹介した。

 例えば旭化成では経営戦略の実現に必要な人材の量と質を毎年洗い出し、これに基づく採用や育成を計画的に実施することで、3つの視点の「経営戦略と人材戦略の連動」を進める。

 ソニーグループでは事業の多様性に応じて各事業CHROが人材マネジメントを行ない、経営戦略と連動したグループ人事戦略を推進する。同グループのパーパス「クリエイティビティとテクノロジーの力で世界を感動で満たす」を策定、経営陣と従業員の対話を通じて社内への浸透に注力し、エンゲージメント向上に努める。

 事例について経産省経済産業政策局産業人材課長の島津裕紀氏は、「企業が経営戦略と連動した人事戦略を実践するためのアイデアの引き出しとして活用し、人的資本経営を推進してほしい」と話す。

 日本企業は、人的資本経営で欧米に後れを取ってきたと言われる。リクルートが昨年秋に実施した人事担当者向けアンケートによれば、人的資本情報を社外に公表している企業は14.9%にとどまった。今後は情報開示とともに、企業価値向上や成長戦略にどうつながっていくのかを明示することが求められる。