84社の企業を含む116団体が参加し、陸と海の30%を保全する連合が発足した。企業による自然の保全活動「OECM」を推進し、生物多様性の世界目標達成を目指す。

 2030年までに世界の陸域の30%と海域の30%を保全する「30by30」を目指す有志連合「30by30アライアンス」が、環境省主導の下で22年4月に発足した。サントリーホールディングスや清水建設、トヨタ自動車など84社に加え、自治体やNPOなど合計116団体が参加した。

 「30by30」目標は、22年夏に開催予定の生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)で採択が見込まれる30年に向けた世界目標の1つだ。現在、世界では陸の17%、海の10%が保全されているが、これを30%に引き上げる。各国も自国で30by30達成が求められる。その達成には国の保護区だけではなく、企業が管理する緑地や漁業管理地域など「民間と連携した自然環境保全(OECM)」地域も加えるとされている。

 そこで政府は、企業が所有・管理する緑地などの保全活動を促し、OECMとして認定することを狙ってアライアンスを発足させた。企業にとっても、アライアンスに参加し、OECM認定を受けることで、生物多様性の世界目標に貢献しているお墨付きを得られるメリットがある。

 清水建設は、グリーンインフラ事業の技術開発として千葉県の谷津田(谷地にある田んぼ)を再生しており、そのOECM認定を目指す。「OECM認定は第三者認定であるため、取り組みが自己満足ではなく生物多様性に貢献していることを証明できる。アライアンスは当社の生物多様性保全の取り組みを知ってもらえる機会だと捉えている」と環境経営推進室の橋本純グリーンインフラ推進部長は参加の理由を話す。

 国は22年度にOECM認定の仕組みを試す実証事業を行い、23年度から認定を開始する。23年中に100サイト以上の認定を目指す。

サントリーグループは天然水の森で地下水を育む森づくりを実施(上)。清水建設はグリーンインフラとして谷津田を再生(下左)。豊岡市は水田の生き物を増やしコウノトリを野生復帰させた(下右)。いずれもOECM候補になる<br><span class="fontSizeS">(写真:サントリーホールディングス(上)、清水建設(下左)、兵庫県豊岡市(下右))</span>
サントリーグループは天然水の森で地下水を育む森づくりを実施(上)。清水建設はグリーンインフラとして谷津田を再生(下左)。豊岡市は水田の生き物を増やしコウノトリを野生復帰させた(下右)。いずれもOECM候補になる<br><span class="fontSizeS">(写真:サントリーホールディングス(上)、清水建設(下左)、兵庫県豊岡市(下右))</span>
サントリーグループは天然水の森で地下水を育む森づくりを実施(上)。清水建設はグリーンインフラとして谷津田を再生(下左)。豊岡市は水田の生き物を増やしコウノトリを野生復帰させた(下右)。いずれもOECM候補になる
(写真:サントリーホールディングス(上)、清水建設(下左)、兵庫県豊岡市(下右))

社有林や工場緑地も候補

 OECM認定の国際的な基準は国際自然保護連合(IUCN)が定めているが、細かな基準は国ごとに決める。環境省は22年3月に9つの基準を発表した(下の表)。

■ 民間と連携した自然環境保全(OECM)サイトの認定基準
■ 民間と連携した自然環境保全(OECM)サイトの認定基準
出所:環境省の資料を基に「日経ESG」作成

 企業が認定を受けやすいのは、3の「二次的な自然がある場所」や4の「生態系サービスを提供する場所」だ。3には人工林や農地、谷津田などが該当する。4は食料や木材などの原材料、水源涵養、炭素固定、防災減災など生態系サービスを提供する場所が該当する。サントリーグループが水源涵養活動を行っている「天然水の森」や、製紙や林業の会社が管理する人工林、開発事業者が管理する都市緑地などが候補になる。社有林や工場の緑地、ビオトープもOECMの候補になり得る。