パナソニックは2021年から22年にかけて、純水素型燃料電池を市場に投入する。使用電力を100%再生可能エネルギーに切り替える企業に狙いを定めて事業拡大を目指す。

 「太陽電池や蓄電池に純水素型燃料電池を組み合わせることが、現実的なRE100の実現手段になる」。2021年4月9日、パナソニックアプライアンス社スマートエネルギーシステム事業部水素事業推進室の青木仁室長は報道陣を前にこう話した。

パナソニックの展示施設で実証稼働中の純水素型燃料電池。出力700Wのタイプでエネファームの部品を共用する

 同社が09年から販売している家庭用燃料電池「エネファーム」は、都市ガスから水素を取り出して利用する。これに対して、水素をそのまま使って発電する純水素型燃料電池は、発電時のCO2排出量をゼロにできる。

 世界的な脱炭素の流れもあり、事業活動で使う電力を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100」の達成を目指す企業が増えている。その手段として、太陽電池や蓄電池の活用が挙げられるが、夜間や悪天候では発電できない他、工場の屋根など設置面積が限られる難点がある。パナソニックは、純水素型燃料電池を組み合わせる方法を提案し、RE100での需要を開拓する。

 21年10月にまず5kWの大出力タイプを発売し、22年には700Wタイプを投入する。東京都内にある同社の展示施設で実証稼働を開始した700Wタイプは、エネファームの部品を共用している。都市ガスから水素を取り出す改質器が不要で、「コスト的にも大いにメリットがある。将来的には改質器がない分、安くできるだろう」(青木室長)と言う。

中国や欧州で引き合い

 パナソニックは17年に発表した「環境ビジョン2050」で、同社の事業活動や顧客が製品を使う際に必要なエネルギーの量を上回るエネルギーを創出する目標を掲げている。燃料電池はその戦略製品となる。

 純水素型燃料電池は既に中国や欧州で引き合いがあるという。青木室長は、「日本でもRE100で市場をつくり、23~24年に大きな事業にしたい」と意気込む。

燃料の水素を岩谷産業が供給している

 課題は水素の供給だ。RE100の達成に使うためには、製造時にCO2を排出しない「CO2フリー」の水素が必要になる。

 パナソニックは岩谷産業と組み、CO2フリー水素を調達する計画である。岩谷産業は、太陽光や風力などで発電した電力で水を電気分解して水素を製造、供給する方法を検討している。製造コストを抑えながら大量に供給する工夫も要る。

 50年にCO2排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」実現の重要技術として期待がかかる水素。企業にとってビジネスチャンスにもなるが、クリアしなければならない課題は多い。