リコーは再生可能エネルギーの導入を加速するに当たり、調達方針を独自にまとめた。方針を明確にすることで、小売電気事業者の提案を引き出す。

 リコーは2021年4月、東京都大田区の本社建物向けに、再エネ電力の調達を始めた。新しくまとめた再エネ調達の評価制度に基づいて、小売電気事業者のみんな電力(東京都世田谷区)から風力発電や太陽光発電の電力を調達する。年間の購入量は約430万kWh、CO2削減量は1940tを見込む。

 購買部門が電力会社に調達の際の評価項目を示し、提案を募った。みんな電力は、価格面で他社に劣ったが他の項目が優れ、最も高得点だった。

 リコー環境推進室の佐藤滋芳シニアスペシャリストは「地域と共生する再エネの導入拡大に貢献する方針を示し、それに合った提案を引き出したい」と話す。

 例えば再エネ設備の「地元出資比率」を評価対象にした。今回は地元企業が約6割出資する峰浜風力発電所(秋田県)や、収益を県内の農業復興などの資金に充てる野馬土太陽光発電所(福島県)などから調達する。

 「追加性」では、その再エネ設備がリコーなど企業の需要を見込んで事業化されたかどうかを評価する。以前から運転していた再エネ設備よりも、運転年数が若い設備を優先する。

 「電源構成」では火力発電の電力と証書の組み合わせよりも、固定価格買取制度(FIT)の再エネ電力と証書の組み合わせを高く評価する。

■ リコーが導入した再エネ調達の評価制度
評価項目の条件に合うと高得点になる
(出所:リコー)

30年の再エネ比率を50%に

 同社は21年3月、再エネ導入目標を引き上げた。22年度に電力消費に占める再エネ比率を30%、30年度に50%に高める。これにより50年度にはバリューチェーンからの温室効果ガス排出量をゼロにし、再エネ比率100%の「RE100」を目指す。

 英国や中国、タイにはRE100を達成した拠点もある。だが日本では、電力会社による再エネ供給力不足や料金の高さがネックとなり進んでいない。国内での調達を加速する必要があるなか、調達基準を明確にしたのは、「低コストで効率的に目標を達成するだけでなく、経済と社会、地球環境のバランスを保つ調達を目指す」(ESG推進室の阿部哲嗣室長)との考えがあるからだ。

 再エネ電力とひと口に言っても、その種類や地域との関係性などは様々である。電力会社との交渉の窓口になる購買部門に方針を明示することは、経済性と持続可能性を追求するのに効果を発揮しそうだ。