3分の2の経営者が気候変動への取り組みを「縮小する」と回答した。短期的利益を求める投資家や株主からの圧力が大きな障壁になっている。

 デロイト トーマツ グループは2021年1~2月、世界13カ国、750人の経営者を対象に、気候変動に関する取り組み姿勢や実際の対策について聞く調査を実施した。その結果、20年初めから世界を襲った新型コロナウイルス感染症が企業経営に甚大な影響を及ぼしていることが明らかになった。

 調査対象としたのは、米国、英国、中国、オーストラリア、日本などの経営者。業種も金融、ライフサイエンス、テクノロジー・通信、小売りなど主要な産業全般に及ぶ。

3分の2の経営者が「縮小」

 今後1年の気候変動への取り組み意向について聞いたところ、何らかの形で取り組みを縮小する必要があるという回答が65%を占めた。その一方で、「コロナ禍においてもサステナビリティの取り組みを加速させる」が23%、「全く影響していない」が11%を占めた。中でもエネルギー会社など気候変動の影響を強く懸念している産業分野で対策を加速させる可能性が高い。

■ コロナ禍と景気低迷は、気候変動への取り組みにどう影響するか(今後1年)
出所:デロイト トーマツ グループ(図表5点とも)

 気候変動に関して既にどんな対策を講じているか。注目すべきは、20年に実施した同様の調査と比べて、コロナ禍の影響とみられる対策が急上昇したことだ。テレワークの推奨(19ポイント増)、従業員のアクティビズムを支援(12ポイント増)、再生可能エネルギーの購入(9ポイント増)などである。企業の対策がより実利的、実際的なものに軸足を移していることがうかがえる。

■ 気候変動に関して既にどんな対策を講じているか

 気候変動は事業活動にどのような影響をもたらしているのか。最も多かったのは気象災害によるもの(27%)。施設の損壊やサプライチェーンの途絶など大規模かつ深刻な被害が出ているようだ。20年にオーストラリアや米国カリフォルニアで発生した大規模森林火災や、21年初めに米テキサス州を襲った大寒波などが保険コストの増加につながり世界中に影響を与えたことは記憶に新しい。

 また、国・地域による気候変動に関する規制や不確実な政策への警戒心も強い(26%)。特に、金融業界やライフサイエンス/ヘルスケア業界の経営者が、規制や政策を最も影響が大きな問題として挙げた。

■ 気候変動による業務への影響は何か