洋上風力の世界市場を狙うGEと、陸上風力で国内実績のある東芝がタッグを組む。撤退が相次いだ日本の洋上風力産業に新しい萌芽は見えるのか。

 東芝と米ゼネラル・エレクトリック(GE)は洋上風力発電事業で提携する。GEの洋上風力発電システムのうち風車の駆動部分(ナセル)の組み立てを東芝エネルギーシステムズの事業所が担うほか、部品調達や販売、保守・運用も共同で行う。

 日本の風力発電の累積導入量は、世界20位の4.4GWと大きく出遅れている。2050年のカーボンニュートラル達成に向け、政府は30年までに10GW、40年までに30G~45GWの洋上風力発電を導入するという目標を掲げる。東芝とGEは提携によって、秋田県沖や千葉県沖など国内で進む新設計画の半分以上の受注獲得を目指す。

強風に耐える安全性が強み

 世界の風力タービン市場は中国の躍進が目覚ましく、20年の新規発電容量トップテンのうち7社が中国メーカーだ。過熱した市場において、GEは20年ついにトップに立った。ただし、発電容量のほとんどが陸上風力で、今後需要拡大が見込まれる洋上風力の開拓はこれからだ。

■ 世界の風力タービンメーカー上位10社(2020年)
■ 世界の風力タービンメーカー上位10社(2020年)
出所:ブルームバーグ・ニューエナジー・ファイナンス

 GEの強みは風速約60mの強風にも耐えられる安全性能。主力モデルの「ハリアデX」は、国際認証機関DNVから安全性能の最高クラスとなる「T1」の認証を取得した。「14MWという大型の洋上風力発電システムでT1認証を得ているのは世界で当社だけ」(GE)という。

 実際にハリアデXは、英国の沖合130kmの北海に建設中の世界最大の洋上風力発電所、ドッガーバンクに採用された。米国初の大規模洋上風力発電所、マサチューセッツ州ヴィンヤードでも導入が決まった。

 「GEと東芝は発電分野での協力が長く、信頼関係が強い。日本の強大な台風にも耐えうる技術を持つGEと組み、洋上風力発電事業を拡大していく」(東芝エネルギーシステムズ)。だが、技術提携は当面ナセルの組み立てだけだ。ブレード(羽根)やタワーも海外のGEの工場から調達する。

 国が壮大な目標を掲げる一方、日本には洋上風力発電設備を手掛けるメーカーが1社もない。これでは高い設備を輸入し続けなくてはならず、普及が思うように進まない可能性がある。国産技術を培うために、当面は海外勢から学ぶ戦略的な提携が必要になる。