韓国のサムスン電子の温暖化対策は、米アップルなどのライバル企業に遅れをとっている。RE100達成への明確な姿勢を示さない同社にアナリストや投資家は警鐘を鳴らす。

 顧客や各国政府の間で低炭素サプライチェーンの確立を求める声が高まる中、競合他社が約束する温暖化対策のコミットメントにサムスン電子が足並みを揃えないのは、同社の将来に「システミック・リスク(システム全体に波及するリスク)」をもたらすと、アナリストや投資家は警鐘を鳴らす。

 アップルや台湾積体電路製造(TSMC)、そして韓国の半導体メーカーであるSKハイニックスなどのライバル企業とは異なり、サムスンは世界の電力消費の100%を再生可能エネルギーで賄うことを依然として公約に掲げていない。

 サムスン電子は、スマートフォンと半導体メモリの世界最大手のメーカーだ。同社の総電力消費量のうち、韓国とベトナムの製造拠点の消費が占める割合は80%以上で、主に石炭と天然ガスを燃料として使用している。

スマートフォンや半導体で世界最大手のサムソン電子は、再生可能エネルギーの利用ではライバル企業に後れをとっている。写真は韓国ソウルにある同社の旗艦店<br><span class="fontSizeS">(写真:YONHAP NEWS/ アフロ)</span>
スマートフォンや半導体で世界最大手のサムソン電子は、再生可能エネルギーの利用ではライバル企業に後れをとっている。写真は韓国ソウルにある同社の旗艦店
(写真:YONHAP NEWS/ アフロ)

 オランダの資産運用会社APGのアジア太平洋地域(APAC)責任投資・ガバナンス部門責任者であるパク・ユギョン氏は、「再エネに関し、アップルはグローバル社会に対して大きな責任を引き受けているが、サムスンは同じことを行っていない」と話す。

 「サムスンは、『我々はモノを製造して売ることが仕事だ。我々が責任を負うのはモノを売るまでだ』と考えているようだ。だが、それは20世紀のビジネスモデルで、20世紀の経営哲学でしかない」

公社の安価な電力に依存

 サムスン電子が脱炭素化への道を切り開くことに消極的なのは、韓国の電力市場を独占する国営エネルギー企業の安価な電力に依存しているからだとの批判もある。国際エネルギー機関(IEA)によると、2020年に20カ国・地域(G20)で再エネが占める割合が最も低かったのはサウジアラビアで、これに韓国が続く。

 ソウルのSK証券のアナリスト、キム・ヨンウ氏は「サムスンがESG基準を満たせなければ、長期的には海外顧客が目もくれなくなる可能性がある」と指摘する。「環境問題は、やがて非関税障壁という形でシステミック・リスクとして浮上するだろう」。

 サムスン電子の戦略に詳しい関係者によると、同社は22年、国際的な環境イニシアチブ「RE100」に加盟することを原則として決定した。このイニシアチブは、企業が世界中の事業活動で使用する電力を100%再エネに切り替えることを進める世界的な取り組みだ。

 この関係者によると、RE100加盟を発表するタイミングはまだ決まっていない。加えて、サムスン電子がアップルに対抗し、自社のサプライチェーン全体を再エネで賄う「スコープ3」での対応を公約するかどうかは不透明だ。