「30%クラブジャパン」は、企業の執行役員やライン部長といった次期取締役の候補となるパイプラインの強化に乗り出した。 2030年にTOPIX100の構成企業で女性取締役比率を15%から30%に引き上げることを目指す。

 「ダイバーシティを高めることが、企業の成長や価値向上につながることを示す具体的な事例をもっと出していくことが大事だ」。今年6月15日に開催された30%クラブジャパンの発表会に登壇した資生堂の魚谷雅彦社長CEO(最高経営責任者)はこう力を込めた。女性役員比率の向上に取り組む30%クラブジャパンは2019年5月に発足し、魚谷氏が初代議長に就いた。参加企業の数は当初の28社・団体から68社・団体に大きく増えた。この日、3年間の成果とともに、22年5月から始まる第2期活動方針を発表した。魚谷氏は引き続き議長を務める。

30%クラブジャパン議長を務める魚谷雅彦氏(右)と副議長の永山晴子氏
30%クラブジャパン議長を務める魚谷雅彦氏(右)と副議長の永山晴子氏

女性取締役比率は15%超に

 30%クラブジャパンは、東証株価指数(TOPIX)100の構成企業の取締役会に占める女性の比率を20年に10%、30年に30%にする目標を掲げている。20年の目標を19年に前倒しで達成し、21年には15%を超えた。30%クラブジャパンの作業部会の1つである「社長会」の参加企業に限ると、この比率は21.6%に達する。社長会には、資生堂の他、アサヒグループホールディングスや花王、第一生命保険など33社が名を連ねる。

 ジェンダー平等の実現に向けて一定の成果を上げた一方で課題も浮かび上がる。取締役会のダイバーシティは企業価値の向上に関わる重要課題で、投資家からの要請も強い。ただし、生え抜きの女性取締役を育てなければ、ダイバーシティを維持・向上させるのは難しい。現在は多くの企業が社外から女性人材を登用しているのが実情だ。「次に取締役になる執行役員やライン部長の育成強化が必要だ。現実には、ここの女性比率が思っていたより高まっていない」(魚谷氏)と危機感を募らせる。

 そこで、第2期では社内から女性取締役を輩出するパイプラインの強化に向け、参加企業が執行役員とライン部長に占める女性比率の自主目標を設定する。さらに、結婚や出産といった女性特有のイベントを考慮した女性育成コースを検討する。社会に出る以前から継ぎ目なく人材を育成するよう、大学と連携し、先入観の払拭や、自己成長意欲の醸成にも取り組む。

 魚谷氏は、「課長から先の次のステップへ進むための研修やキャリアの方向性を示すといった部分が欠落していた」と話す。将来、取締役となる女性リーダーの育成について、「例えば上司に後継者候補3人のうち最低1人は女性を挙げるようにするといった取り組みを促していく」(魚谷氏)という。