「スコープ3」の削減が、どのような企業にも課題となってきた。出張管理にCO₂算定やオフセットを組み込むサービスが登場した。

 東京証券取引所プライム市場への上場企業で開示が進む「スコープ3」。カテゴリーの1つに含まれるのが「出張」だ。その出張で利用する航空やホテルなどのCO₂排出量について、算定や「オフセット(排出量の相殺)」の認証取得支援などを行うサービスを、JTBビジネストラベルソリューションズ(以下、JTBCWT)が2022年6月に開始した。同社は出張管理サービスを手掛けており、顧客のESG対策に対応する。

欧米企業を中心に、CO₂排出量の多い航空機の使用を避けたり、オフセットなどの対応を取る動きが広がっている<br><span class="fontSizeS">(写真:アフロ)</span>
欧米企業を中心に、CO₂排出量の多い航空機の使用を避けたり、オフセットなどの対応を取る動きが広がっている
(写真:アフロ)

出張のCO₂が7割の企業も

 製造を伴わないサービス業などの場合、出張によるCO₂排出量は無視できない存在だ。例えば大手広告代理店の場合、排出量全体に占める出張による排出量の割合は5〜7割という。JTB-CWTでは金融業や情報サービス業なども、出張による排出量の割合は比較的大きいとみる。

 本来、出張による排出量を算定するには、交通機関での移動距離や燃料使用量を把握する必要があるが、通常の経理作業などの中で実施するのは難しい。環境省のガイドラインでは交通費支給額や出張日数、さらには従業員数で概算する方法が紹介されているが、こうした概算データを活用していてはCO₂削減策が出張日数や従業員数の削減となってしまい、現実的とは言えない。

 そこでJTB-CWTは航空由来の排出量算定などを得意とするオランダ企業、クライメート・ニュートラル・グループと提携し、利用した航空機材や宿泊都市に応じた精緻な算定を可能とした。また、オフセットに関してはカーボンクレジット仲介などを手掛けるブルードットグリーンと提携し、要望がある場合はプロジェクトごとの見積もりで「VCS」や「ゴールドスタンダード」「J-クレジット」といった、企業が自主的(ボランタリー)に使えるクレジットの提案、認証取得を支援する。

■ CO₂排出量を算定
■ CO₂排出量を算定
*図中の「JTB-CWT」は「JTB ビジネストラベルソリューションズ」の略
(出所:JTB ビジネストラベルソリューションズ)

 同社は従来の出張管理ではコスト低減やガバナンス管理のため、データの可視化や出張規定の策定などのサービスを提供してきた。今後は排出削減でも同様のコンサルティングを提供し、22年度中に30社への導入を目指す。