太陽光パネルの主要部材の製造で強制労働の疑いが指摘される。低コストの裏側に、過酷な人権侵害と非効率な石炭火力があるという。

 太陽光パネルに関するある報告が注目を集めている。主要部材が、中国・新疆ウイグル自治区で作られ、人権侵害の疑いがあるという。2021年1月、米紙が米コンサルティング会社のホライゾンアドバイザリーによる報告として報じた。4月には米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)が取り上げ、日本でも注目を集め始めた。

 CSISによれば、イスラム教徒の少数民族であるウイグル族を中国当局が強制収容し、収容施設で職業訓練と称して無償や低賃金の労働を強いている。この施設で、太陽光を電力に変える部材に使う多結晶シリコンを製造しているという。中国当局は、強制労働を否定している。

 世界中で急速に導入量が拡大した太陽光発電は、安価な中国製パネルに支えられてきた。世界のパネル生産に占める中国のシェアは発電容量(kW)ベースで19年に約7割だった。

 太陽光パネルのほとんどが多結晶シリコンを採用している。CSISは、世界大手シリコンメーカー5社のうち4社が新疆にあり、人件費の安いウイグル族収容施設で製造した多結晶シリコンを採用しているとの見方を示す。「市場の95%以上のシリコン製パネル部材が、同地区で作られている可能性がある」というブルームバーグ・ニューエナジーファイナンスの指摘も引用している。

 CSISは、中国製パネルが安い理由をもう1つ挙げる。新疆は、石炭埋蔵量が豊富だ。発電コストが安い非効率な石炭火力発電の電力で、多結晶シリコンを焼き固める高温の炉を稼働させているとみられる。中国でも電力料金が最も安い地域だという。

日本の輸入、8割は中国から

 米国メディアによれば21年5月、気候変動問題を担当するジョン・ケリー大統領特使が、強制労働の疑いで中国製パネルを貿易制裁の対象に指定するか検討していると明らかにした。

 20年度、日本は太陽光パネル輸入額の約8割を中国に支払った。現在、日本政府はこの問題で明確な姿勢を打ち出すには至っていない。再生可能エネルギー電力を調達する企業もこの問題は様子見のもようだ。だが米中関係など国際情勢によっては、人権保護の国際基準である「国連ビジネスと人権に関する指導原則」に基づく対応が求められる可能性も否めない。脱炭素のカギを握る再エネの導入拡大に、影を落としている。

■ 日本でも強制労働が疑われる太陽光パネルが使われている恐れがある
世界の2019年における太陽光パネル生産の約7割は中国製(左)。日本の20年における太陽光パネル輸入額2640億円のうち、約8割が中国からの輸入