世界の金融規制当局が、「ESGウオッシュ」の監視を強めている。金融庁は、2023年3月をめどとして、監督指針の策定に乗り出した。

 金融庁が、ESGファンドの本格的な規制に動き出した。ESGの実態を伴わない「ESGウオッシュ」を、実効性ある形で規制しようというものだ。その表れが、政府が2022年6月7日に閣議決定した「新しい資本主義」実行計画のフォローアップ文書に記された一文である。サステナブルファイナンスに関して、「2022年度末を目途に監督指針について所要の措置を講ずる」と明記した。

金融庁が、ESGファンドの運用や情報開示について、本格的な規制の策定に乗り出した<br><span class="fontSizeS">(写真:イメージマート)</span>
金融庁が、ESGファンドの運用や情報開示について、本格的な規制の策定に乗り出した
(写真:イメージマート)

 監督指針は、金融庁が金融商品を検査・監督する際の着眼点を整理したものである。金融庁の担当者は、「監督指針は法令とほぼ同様の意味を持つ監督ツール。あまりに逸脱した運用をすれば、行政処分につながる可能性があるというメッセージに他ならない。業界の意見を踏まえて23年3月までにまとめる」と言う。

 監督指針のベースとなるのが、金融庁が22年5月27日に公表した「資産運用業高度化プログレスレポート2022」である。プログレスレポートは国内資産運用業の現状をまとめたものだが、22年は「ESG投信を取り扱う資産運用会社への期待」として、ESGファンドに関する組織体制や情報開示など7項目について課題を示した。

 このレポートが資産運用業界に波紋を広げている。国内運用会社のファンドマネージャーは、「金融庁の指図は広くて細かく、対応には確実にコストがかかる。しかし、信託報酬には転嫁しにくい。体力のない運用会社が扱うESGファンドは淘汰されていくかもしれない」と話す。

ウオッシュ疑惑でCEO辞任

 世界の金融当局の目は、厳しさを増している。

 ドイツの検察・金融当局は22年5月31日、ドイツ銀行グループの資産運用大手であるDWSとドイツ銀行本店を家宅捜索した。同社のESG投資が、ESGウオッシュではないかという疑いだ。翌6月1日、ドイツ銀行はDWSのアソカ・ブアマン最高経営責任者(CEO)の辞任を発表。事実上の引責辞任となった。

 米証券取引委員会(SEC)は22年5月23日、米銀大手のバンク・オブ・ニューヨーク・メロンの資産運用子会社に対して、ESG情報の開示が不十分だったり虚偽の情報を記載したりしていたとして、150万ドル(約1億9000万円)の制裁金を科した。

 6月10日には米紙が、米ゴールドマン・サックスが運用する投資信託について、SECが調査を進めていると報じた。ESGファンドの運用実態が投資家への説明と乖離していないか調査するとしている。

 狭まる「ウオッシュ」包囲網。資産運用会社の対応は待ったなしだ。