投資家対話で、長期視点の対話や統合報告書の活用が進んでいる。企業はESGの取り組みに対する定量的な評価を求めている。

 新型コロナウイルスの影響を受け、企業と投資家の対話が変化している。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は2021年5月12日、「機関投資家のスチュワードシップ活動に関する上場企業向けアンケート集計結果」を公表した。アンケートは21年で6回目。調査対象は、東証1部上場企業2186社で、調査期間は1月15日~3月13日である。21年の特徴や変化の傾向を見てみよう。

 中長期的な企業価値向上のためには、長期的な視点を踏まえた対話が欠かせない。対話の場で企業が示す長期ビジョンの年数はどのくらいか。21年、10年以上の企業が初めて半数を超えた。最も多かったのが「10年以上」で45.7%、「20年以上」は20年の3.3%から21年は6.9%に増えた。企業は、より長期視点の対話を望む傾向にある。

■ 企業が投資家に示す長期ビジョンの年数
注:機関投資家に長期ビジョンを示していると答えた企業の回答。
期間を範囲で示した回答は範囲の下限で集計
(出所:GPIF)

 対話において統合報告書の活用が進んでいる。機関投資家による活用が「進んでいると感じる」と答えた企業は61.7%だった。前々回の調査から2割以上増えた。対話では議論の内容が多岐にわたるケースが多い。統合報告書は経営者の意識や企業の課題を示す役割を果たし、対話のテーマ設定や議論の深掘りに役立つツールとなっている。

■ 機関投資家による統合報告書の活用は進んでいるか
出所:GPIF