英HSBCは自然資本に特化した約1110億円のインパクト投資ファンドの運用を始める。持続可能な農業や森林経営に投資し、「カーボンクレジット」からの収益も得る。

 英金融大手HSBCの資産運用部門HSBCアセットマネジメントは、自然資本に特化した運用子会社を通じて10億ドル(約1110億円)の「自然資本インパクト投資ファンド」を組成、2021年10月から運用を始める。機関投資家から資金を集め、環境保全型の農業や持続可能な森林経営、自然の保全事業など10~20件に投資する。やせた農地や林地を付加価値の高い土地に再生することで得られる農作物や林産物の収益に加え、自然の保全・再生で増加した炭素貯蔵量から生まれる「カーボンクレジット」の販売収益も得て、内部収益率(IRR)8%を見込む。

■自然資本へのインパクト投資のリターン
持続可続な森林経営や農業、その他自然資本の保全事業に投資する。農産物や木材の販売、カーボンクレジット、土地の価値向上から収益を得る。事業ごとに最大10%、平均8%の内部収益率を見込む
(出所:HSBCの資料を基に日経ESG作成)

 森林ファンドなど自然関係のファンドは以前からあったが、リターンが低いという課題があった。HSBCアセットの機関投資家ビジネス部門ESGリーダーのサンドラ・カーライル氏は、「今回の自然資本ファンドは1000億円以上と規模が大きい上、インパクトと高いリターンを両立させるのが特徴。収益が上がる事業を精査し、選別している」と話す。

 自然資本に特化した運用子会社「HSBCポリネーション・クライメート・アセット・マネジメント」は、20年8月に英投資顧問会社ポリネーション・グループと合弁で設立した。今回のファンドが第1号となる。

 カーライル氏は、「世界の温室効果ガス排出量の約25%は農業・林業・土地利用から排出されている。自然の乱用で土壌が劣化し、生物種も減少している。我々は自然を重要な資産と捉え、価値を向上させたい」とファンド組成の意図を話す。

自然のインパクトを測定

 ファンドの資金の8割は持続可能な農業や森林経営に、2割はその他自然資本の保全・再生に投資しカーボンクレジットやブルーカーボン(海洋への炭素蓄積)の収益を得る。

■ HSBCの自然資本インパクト投資ファンドのテーマ
(写真:HSBC)