各国が30年目標の発表後、実現に向けた具体策を議論している。TCFDは補助ガイダンスの改訂を提案。企業は情報開示を強化する必要がある。

 2021年4月に開催した米国主催の気候変動サミットで、米国や日本、英国などが30年の温室効果ガス排出量の削減目標を強化した。世界で50年のカーボンニュートラルを目指す中、30年に向けても気候変動対策の強化が必要となった。

EUや日本で対策を強化

 各国政府は30年目標の達成のため、気候変動対策を見直す作業を進めている。21年7月14日には欧州連合(EU)の欧州委員会が、30年目標と50年のカーボンニュートラルを達成するための政策案「フィット・フォー55」を発表。EUは20年12月に30年目標を強化していた。EUは政策案で、35年までにエンジン車の販売を実質的に禁じる厳しい方針を示した。

 日本では7月21日、経済産業省が「エネルギー基本計画」の改訂素案を示した。30年における国内の総発電量のうち、再生可能エネルギーや原子力発電の割合を示す「電源構成」の見通しも提案した。

 これによれば、再エネ比率は36〜38%、原子力は20〜22%、火力発電は41%になる。また初めて、燃焼してもCO2を排出しない水素やアンモニアによる発電を加え、1%とした。

■ 国は「非化石」電源を6割に
経済産業省が示した「2030年におけるエネルギー需給の見通し」の見直し案
(出所:経済産業省「エネルギー基本計画(素案)」2021年7月21日)

 達成は簡単ではない。19年度の再エネ発電実績は1853億kWhだった。これを3300億〜3500億kWh程度と、約1.8倍に拡大するという。

 だが、例えば太陽光発電は、用地などのコストが安く投資対効果の高い場所では既に発電事業が進む。系統(送電網)の増強などで陸上風力の導入を拡大する他、企業が自社の建屋などに太陽光発電を設置し、電力を企業が自ら使うことを促す。

 原発は、安全最優先で再稼働を推進するという。ただ、再稼働した原発は9基で19年度の比率は6%。これを3倍以上にするには再稼働のペースを上げなくてはならない。国民に、国がいかに働きかけられるかが、30年目標の達成を左右する。

 国による企業向けの気候変動対策の具体策は、まだ議論の途上だ。そんな中、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)が、企業の気候変動対策と情報開示を強化させる動きを見せている。21年6月7日、温室効果ガスの排出量や削減目標、中長期の削減計画といった情報開示に関する「補助ガイダンス」の改訂案を公開した。これに対する意見募集を、7月18日まで実施。秋にも補助ガイダンスの改訂版を発行する予定だ。