少額融資で個人の自立を促すグラミン日本が貧困女性の就労支援事業に乗り出す。圧倒的に不足するデジタル人材を育てることで就労機会を広げ自立を後押しする。

 グラミン日本はSAPジャパンと連携、生活困窮状態にある女性の就労支援事業を本格化する。ベースになるのは、「ソーシャル・リクルーティング・プラットフォーム」と呼ぶ企業が求める人材と、ニーズに合った求職者とをマッチングするシステムだ。2021年4月から試験運用を開始し、今夏から本格的に稼働させる。

 「2018年の調査では母子世帯のうち、所得が貧困線(2人世帯で173万円)を下回る貧困率は5割超、貧困線の半分に満たないディープ・プアは13%だった。その後のコロナ禍によってシングルマザーの経済的困窮はさらに深刻化している。生活苦で自殺する女性が増えており早急の支援が必要だ」と、グラミン日本CEOの百野公裕氏は実情を訴える。

トレーニング機会も提供

 今回、SAPと取り組んだ事業は、2つのDX(デジタルトランスフォーメーション)を切り口としている点で注目できる。

 1つ目は文字通り、デジタルプラットフォームを活用したことだ。女性の就労を支援するNPO団体や自治体などから寄せられる就労希望者の情報と、企業からの求人情報を一元管理し、精度の高いジョブマッチングを迅速に行えるのが特徴。社外人材の調達・管理ソリューションとして実績のある「SAP Fieldglass」をベースに開発した。

■ 生活困窮状態にある女性と企業とをつなぐデジタルプラットフォーム
就労を支援する団体などから寄せられる就労希望者の情報と、グラミン日本の会員企業(現在約30社)からの求人情報を一元管理し、ジョブマッチングを行う。社外人材の調達・管理ソリューションとして実績のある「SAP Fieldglass」をベースに開発した
(出所:グラミン日本)
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 2つ目は、就労希望者に対して、デジタルスキルを高めるトレーニング機会を提供することである。

 シングルマザーの多くは育児で労働時間に制限があるため正規雇用されにくく、労働集約型のサービス業に集中する傾向にある。低賃金でありながら雇用は安定せず、困窮に陥りやすくなっている。

 現状を打開するには、優良企業が求めるスキルを習得する機会を求職者に提供することが重要だ。折しもコロナ禍によってDXの流れが加速している今、デジタル人材のニーズは急速に高まっている。「トレーニングとジョブマッチングを併せ持つプラットフォームで、新たな就労機会の突破口にしたい」と、百野氏は支援事業の狙いを話す。