農林中金は、トラック輸送分野で初めてグリーンローンによる融資を行った。パレットの共同利用・回収事業により、CO2削減とドライバーの労働緩和に貢献する。

 農林中央金庫は2021年7月、グリーンローン原則に基づいて日本パレットレンタル(JPR、東京・千代田)に4億円を融資した。トラック輸送関連事業にグリーンローンを適用するのは国内で初めて。JPRは調達した資金をパレットの新規購入に充てる。同社はレンタル方式で企業にパレットを貸し出し、企業が製品を納入した後の空パレットを一括回収することでトラック輸送の効率化と環境負荷低減を目指すビジネスモデルを展開している。利用企業は食品や日用品のメーカーなど約3200社。年間約4800万枚のパレットを貸している。

 今回のローンでパレットを購入することで、さらなる環境負荷低減と労働者不足の課題解決を目指す。ローンの期間は6年。金利は明かしていないが、通常のローンと同程度だという。グリーンローンの第三者評価は日本格付研究所から取得した。

日本パレットレンタルは、グリーンローンを活用してパレットを新規購入。パレットを複数企業にレンタルして共同利用・回収を進めることで、物流に伴うCO2を約78%削減する環境改善効果が期待できる
(写真:日本パレットレンタル)

食品業界の物流コスト低減

 世界のグリーンローン市場は20年に174億ドル(約1兆9160億円)と17年比で3倍に伸び、国内市場も同5倍の806億円に伸びている(Environmental Financeや金融機関のデータを基に環境省発表)。市場の拡大を受け農林中金は21年4月、グリーンローン原則に準拠したESGローン商品を創設。今回が第1号となる。

 従来のグリーンローンは再生可能エネルギーや不動産事業向けが大半だったが、農林中金はトラック輸送に着眼した。国のグリーン成長戦略の重点分野にグリーン物流が含まれていることに加え、国内貨物輸送の約9割(トンベース、国土交通省調べ)を占めるトラック輸送ではドライバー不足などの課題があることに注目した。それが農産物の物流コストを押し上げ、生産農家や食品メーカーの負担となっている。

 従来はドライバーが荷物を手作業で積み下ろしするのが一般的だったが、パレットの利用によりフォークリフトで積めるようになるため労働を緩和できる。また、自社パレットを所有する場合に比べ、JPRのパレットをレンタルすれば複数企業でパレットをシェアできる上、企業は製品の納入先でパレットを乗り捨てでき、JPRが一括回収する。この仕組みにより、東京海洋大学とKANSOテクノスのLCA(ライフサイクルアセスメント)評価では、JPRのレンタルパレット利用時の物流に伴うCO2排出量は自社パレット利用時より約78%削減できるとした。

 JPRは、グリーンローンの活用で第三者評価機関から環境改善効果のお墨付きを得られたことが利用企業の評価につながるとみている。中小企業が多い食品や日用品の企業やトラック輸送の分野に、今後同様のサステナブル金融が広がりそうだ。