大手食品関連事業者が食品ロスの削減に本腰を入れ始めた。評判リスクの回避や利益率の改善に向けて取り組みが広がりそうだ。

 スターバックス コーヒー ジャパンは2021年8月、閉店3時間前をめどにドーナツやケーキ、サンドイッチなどを20%引きで販売する取り組みを始めた。店舗から排出される食品廃棄物の約15%を占める期限切れ食品の廃棄を減らすのが狙いだ。

 21年3月に東京都と埼玉県の90店舗で試験的に実施したところ、「スターバックスで買うことで良いことに貢献できる」といった声が寄せられ、「非常に良い反応を得た」(水口貴文CEO=最高経営責任者)。売り上げの一部は、NPOの全国こども食堂支援センター・むすびえに寄付する。

スターバックス コーヒー ジャパンは全国の店舗で期限切れが近づいた食品の値引き販売を始めた
(写真:スターバックス コーヒー ジャパン)

 ネスレ日本は6月から、食品ロス削減を支援するみなとく(東京・港)と組んで無人販売機の運用を開始した。流通事業者との間で取り決めた納品期限を超過し、通常の流通ルートで売りにくくなった商品を全国5カ所で販売する。

 「ネスカフェ」や「キットカット」といった同社を代表するコーヒーやチョコレート菓子などが対象だ。希望小売価格より最大50%安くし、「手に取ってもらいやすい価格」(ネスレ日本飲料事業本部レギュラーソリュブルコーヒー&RTDビジネス部長の髙岡二郎氏)に抑えた。

 それぞれの商品は賞味期限の1~2カ月前まで無人販売機で提供する。賞味期限が近づくにつれて価格を下げていくダイナミックプライシングなどを活用し、売り逃しによる食品ロスの発生を防ぐ。

ネスレ日本が運用を開始した「みんなが笑顔になる 食品ロス削減ボックス」
(写真:ネスレ日本右)

 今夏に開催された東京五輪の会場で弁当が大量に廃棄されたのは記憶に新しい。企業は食品ロスを放置すれば消費者から批判されるばかりか、利益の圧迫要因になる。ESG投資家は、社会課題の解決にどれだけ貢献したかのインパクトを重視するようになっている。企業は今後、情報開示を強化する必要がある。