政府は2030年の温室効果ガス削減目標の強化に伴い、政策を見直している。企業の自主的取り組みを尊重しつつも、政府が進捗を確認する方針を示した。

 政府は気候変動対策を見直し続々と新方針を示している。2021年4月発表の30年度の温室効果ガス削減目標を達成するため、国内でどのような対策を強化するかが明らかになった。

オフィス・店舗は50%削減

 21年8月、経済産業省と環境省が開いた審議会は「地球温暖化対策計画(案)」を審議した。30年度までに排出量を13年度比で46%削減するための一連の対策を100ページを超す文書にまとめた案で、様々な分野ごとに30年度までの削減量を試算した。

 温対計画案によれば、製造業など産業部門では30年度に13年度比で約37.4%削減する。13年度以降、国内の産業は省エネや再生可能エネルギー電力の積極的な活用で排出量を減らしてきた。それでも19年度と比べても、さらに約24.5%削減する。

 一方、小売りやサービス、金融機関などのオフィスや店舗を含む業務部門は13年度比で約49.6%、19年度比で約37.8%の削減が要る。節電や再エネ活用を、中小企業も含む全国でいかに展開するかが重要になる。

 ただ、産業や業務、家庭でのCO2削減の実現は、電力の脱炭素化を進められるかどうかに左右される。

 政府は21年7月、エネルギー基本計画の素案を提案した。再エネや原子力発電、水素やアンモニア発電などCO2ゼロの電力(非化石電力)を、国内の全発電量の約59%程度を占めるまでに増やす。再エネは発電量を19年度の2倍近くに伸ばし、原発は、全国の電力会社が稼働申請中の原発27基を、8割と高い稼働率で運転する必要がある。

 また、難度が高いのが、省エネだ。政府は、13〜19年度における全国の工場やオフィス、家庭、そして自動車輸送など運輸部門によるエネルギー需要削減実績の、さらに約3.7倍の省エネが必要と試算した。

 国際大学の橘川武郎教授は審議会において、再エネも原子力も計画ほど発電量を増やせず「未達になる」と指摘。海外からCO2排出量を相殺するクレジットを購入する必要が生じると予想し、「国費の海外流出がほぼ決まった」と計画に反対した。

 クレジット取引は、削減目標を達成できない場合、他者の削減実績を買って達成する仕組み。政府は、温室効果ガス削減事業を途上国で実施する二国間クレジット制度(JCM)を通じて1億tのクレジットを調達するという。環境省の支援事業だけでも180件を超す事業が採択された。削減量の大規模化も急務だ。

■ 2030年度までの主な対策
■ 2030年度までの主な対策
左の4分野は、30年度までに13年度と比べてどのくらいCO2排出量を削減する必要があるか、割合を示した。かっこ()内はコロナ前の19年度と比べた削減割合。右は規模や影響力の大きい4つの対策を抜粋した。すべて四捨五入してある
(出所:経済産業省、環境省「地球温暖化対策計画本文・別表(案)」、資源エネルギー庁「エネルギー基本計画(素案)」)
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