イオングループが食品ロス半減を目指して対策を強化している。食品を長持ちさせる包装を導入し、CO2排出削減への貢献も狙う。

 イオングループのダイエーの精肉売り場では、最近、見慣れない包装の商品が存在感を放っている。肉の塊に沿うようにプラスチックフィルムがピタリと張り付いたその姿に目を留める買い物客が少なくない。

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「真空スキンパック」包装の商品が並ぶダイエーの精肉売り場(左)。チラシには大きな文字で「鮮度長持ち」と記載し、消費期限の長さをアピールする
(写真:ダイエー)

 ダイエーは2019年11月、「真空スキンパック」と呼ぶ新しい包装を導入した。食べられることなく廃棄される食品ロスを減らすのが狙いだ。20年5月から対象を4品目から13品目に増やし、今後はグループの食品スーパーなどへの導入を検討する。

 真空スキンパックに切り替えることによって、牛肉の場合は従来の包装に比べて消費期限を約10日間延ばせる。先行導入した店舗で検証した結果、食品ロスの比率を4.3%から1.9%に減らせる効果があった。廃棄にかかるコストが減っただけでなく、売り切るために値下げすることも減っている。

 ダイエー関東事業本部畜産部の黒田朗部長は、「包装資材の変更によってコストが増えた分は、廃棄コストや売価変更(値下げ)の削減で十分カバーできる」と言う。

 包装の変更は、CO2の排出削減にも寄与する。牛肉の場合、牛のげっぷに含まれるメタンガスがCO2より温暖化への影響が大きいこともあり、食品の中でCO2排出量が突出して多い。牛肉の廃棄を1kg減らせばCO2の排出を60kg減らせるという。

 イオン環境・社会貢献部の椛島裕美枝マネージャーは、「牛肉は廃棄を少量減らすだけでもCO2削減効果が大きい」と話す。同社は20年7月、包装資材の提供元である米ダウと「カーボンプロジェクト協定」を締結したと発表した。食品ロスの削減を進め、CO2の排出削減を目指す。

コロナ禍で「長持ち」需要拡大

 イオンは、25年までに売上高100万円当たりの食品ロスを15年度比で半減させる目標を掲げる。消費期限の延長はその鍵を握る。

 期せずして、コロナ禍で消費期限が長い商品の需要が増している。感染防止のため、買い物の頻度を減らす消費者が増えているためだ。「ロングライフ化は、アフターコロナ、ウィズコロナのライフスタイルに即している。商品の売り上げは順調で、経営的にも効果がある」(椛島マネージャー)。

 食品ロス削減の手段だった消費期限の延長が、「新常態」での成長を支える要件の1つになりそうだ。