COP26では気候変動対策の信頼性を高める交渉が予定される。対立する先進国と途上国の議論の行方は予断を許さない。

 2021年10月31日から、気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が英国グラスゴーで開催される。多くの議題や課題のうち、特に注目されるものが3つある。(1)パリ協定6条の「市場メカニズム」と(2)同13条「透明性の枠組み」のルール策定、(3)先進国などから途上国に提供する「資金動員の目標」――である。

 6条交渉では、他国での温室効果ガス削減量を「クレジット」などの形で購入し、自国の削減目標の達成に使うルールを議論する。日本は独自の二国間クレジット制度(JCM)を生かすため、交渉の成功を目指す。

 ただ6条では、ブラジルやインドが提起する2つの争点がある。1つ目は、京都議定書のクレジットを利用できるようにするかだ。過去にクレジットを発行した2国は売却利益を狙うが、多くの国が反対している。

 2つ目は、クレジット売却国が削減量を取り消す「相当調整」だ。購入国と売却国とで削減量をダブルカウントするのを避けるのに必要だ。だが、自国の目標を達成したい2国が、取り消しに反対。6条全体の交渉が難航する恐れもあり、日本の目指す成果に影響する可能性もある。

中国の報告は「深刻な問題」

 世界で注目されているのが13条を巡る交渉だ。締約国が国連に提出する排出量報告の透明性を高めるため、報告項目などのルールを定める。

 報告の透明性は、世界全体で削減の進捗を管理するのに不可欠。だが途上国では高い精度で排出量を測定することが難しい。中でも「世界最大の排出国である中国の報告は、実態に即していないとの見方が強い。本当の排出量が分からず、深刻な問題だ」と、ある政府関係者は話す。

 詳細に定期報告している先進国は13条交渉の成功を目指すが、中国など途上国が反発。「過去の報告の信ぴょう性が低いと明かされるのを避けたいのだろう」(交渉官経験者)。

 バイデン政権でパリ協定に復帰した米国も、13条に注目する。ジョン・ケリー気候問題担当大統領特使は、COP26で他国に2030年目標の引き上げを促すことを目指し、排出量報告も重視しているという。

2021年9月17日に開催した気候変動を巡る主要国オンライン会議に参加した、ジョー・バイデン大統領(中央)とジョン・ケリー気候問題担当大統領特使(左)<br><span class="fontSizeS">(写真:ロイター/ アフロ)</span>
2021年9月17日に開催した気候変動を巡る主要国オンライン会議に参加した、ジョー・バイデン大統領(中央)とジョン・ケリー気候問題担当大統領特使(左)
(写真:ロイター/ アフロ)

 この合意の駆け引きに使われそうなのが、25年以降に先進国が途上国向けに行う資金動員目標の交渉だ。

 20年までに先進国全体で途上国に年間1000億ドルの気候変動対策の資金を動員することが合意されていた。ただ、その目標はこれまで達成されていない。途上国は13条の合意と引き換えに、最低でも1000億ドル以上という25年以降の資金動員額のつり上げを迫る可能性もある。

 実効性のある気候変動対策を進めるのに必要なルールに合意できるか、国際社会の協力が問われる。