三井化学はプラスチックごみ問題の解決へ向けて協業を加速させる。循環型社会への移行は化学メーカーにとって欠かせなくなってきた。

 三井化学と日本IBM、野村総合研究所の3社は2021年8月、循環型社会の実現へ向けてコンソーシアムを設立すると発表した。目的は大きく3つある。トレーサビリティ(追跡可能性)を基盤とした再生プラスチックの利用促進、資源循環に関するステークホルダー間の連携支援、資源循環に貢献した人や企業へのインセンティブ制度構築─である。

■ 三井化学は3社共同で循環型社会の実現を目指す
■ 三井化学は3社共同で循環型社会の実現を目指す
三井化学と日本IBM、野村総合研究所(NRI)の3社は、再生プラスチックの利用を促進する。再生プラスチックの信頼性を確保する他、インセンティブ制度を整える

 コンソーシアムの設立に先立ち、三井化学と日本IBMは21年4月、ブロックチェーン技術を活用した資源循環プラットフォームの構築に着手した。具体的には、プラスチック製品の製造や回収、再生などに関わる企業が、物性や品質情報、再生材比率、再生回数などをシステムに登録・共有する。プロトタイプを使った実証実験を経て、22年には実運用を始める計画だ。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)によってプラスチック製品のトレーサビリティを担保し、企業が再生プラスチックを利用しやすい環境を整える。

 将来的に企業が製品に再生プラスチックを利用する場合、本当に再生材であるか、有害物質が含まれていないかといったことに関して保証を求められる可能性がある。

 コンソーシアムは、再生プラスチックの利用にインセンティブが働くようにするため、再生プラスチックを積極的に活用する企業に対する税制優遇措置などの政策を提言する考えである。前述したプラットフォームによって再生プラスチックを利用していることを証明することで、税制優遇を受けやすくする。

再生プラの使用義務化も

 三井化学が再生プラスチックの普及促進に積極的に携わるのは、主力のプラスチック事業を維持・拡大するために他ならない。海洋プラスチック問題を受けてプラスチックへの風当たりが強まっており、「脱プラ」の流れがさらに加速すれば死活問題になりかねない。

 三井化学デジタルトランスフォーメーション推進室長の浦川俊也氏は、「リサイクルしていくことがプラスチックを安心して使ってもらうことになる。プラスチックの価値を再認識してもらいたい」と言う。

 独BASFや独コベストロなど化学メーカーが参加する欧州の業界団体は21年9月、欧州連合(EU)で30年までに包装材に占める再生プラスチックの比率を30%にすることを義務付けるよう提言した。プラスチック産業を死守すべく、化学メーカーは大きな転換点を迎えている。