商業施設を全国展開するバローグループが太陽光発電の導入を加速させる。AIによる需給調整技術を活用したアイグリッドの新サービスを導入する。

 スーパーマーケットやドラッグストアなどの商業施設を全国で1000店以上展開するバローグループは、FIT(固定価格買取制度)を利用しない「非FIT」の太陽光発電の大量導入に乗り出す。アイ・グリッド・ソリューションズ(以下、アイグリッド)が開発した「余剰電力循環モデル」による電力供給サービスを採用。2021年度中にグループの50施設、合計15MWの導入を目指す。

 このモデルは、顧客企業が自家消費用の太陽光発電設備を電力購入契約(PPA)により設置し、余剰電力が発生した場合にはPPA事業者(アイグリッド)が仮想発電所(VPP)ネットワークを介して他の電力需要家に供給するというもの。従来、非FITの余剰電力を束ねて需要家に供給する場合、発電事業者は「同時同量」の精緻な需給調整が必要で、これが導入障壁になっていた。

 アイグリッドはAI(人工知能)を活用し、太陽光発電量と電力使用量を精緻に予測することで、顧客施設の余剰電力と需要家への供給電力との間で高度な需給調整を行う技術を開発。顧客企業が余剰電力を気にすることなく、PPAを導入できる仕組みを実現した。

再エネ利用率が約9割に

 バローグループは、CO2排出量を30年度までに20年度比40%削減する目標を掲げ、自家消費用の太陽光発電の導入を進めてきた。冷凍・冷蔵設備のあるスーパーなど、電力を多く消費する施設を中心に、既に186施設、26.5MWを導入済みだ。

 だが、「物流センターやホームセンターなど電力使用量の少ない施設への導入は限られていた」と、バローマックス店舗運用部の番直人部長は話す。使用量に応じて屋根の一部だけに太陽光パネルを設置しても投資対効果が見込めないからだ。

 今回、岐阜県本巣市のホームセンターで余剰電力循環モデルの実証実験を行った。その結果、使用電力に占める再生可能エネルギー比率が従来の26%から86%に向上した。

■ AIで太陽光発電量と使用電力量を精緻に予測、余剰電力の活用が可能に
■ AIで太陽光発電量と使用電力量を精緻に予測、余剰電力の活用が可能に
ホームセンターバロー本巣文殊店の1日(2021年7月13日)の電力データを余剰電力循環モデルの導入前後で比較。導入前(左の従来モデル:シミュレーション値)は太陽光発電による電力供給量が限られ、系統電力の購入量が多い(太陽光による再エネ比率26%)。導入後(右)は、太陽光の発電容量を増やすことで、電力使用量のほとんどを再エネで調達(同86%:実測値)、余剰電力はVPPを介して需要家に供給される
(出所:アイ・グリッド・ソリューションズの資料を基に作成)

 「新サービスの導入によってCO2排出量で約3割、電力コストで1~2割程度の削減効果を確認できた。国内約1240拠点のうち4分の1程度の施設に再エネを導入していきたい」と番部長は意欲を見せる。

 多くの企業が脱炭素を目指す中、余剰電力循環モデルは、再エネ導入手法の1つとして注目されそうだ。