著名投資家のバフェット氏が日本の5大商社株を取得した。「ソニーを買いたい」と日本に興味を示してから20年、ついに時が来た。

 著名投資家のウォーレン・バフェット氏が2020年9月に日本株への投資に踏み切ったことが明らかになった。

 バフェット氏がCEO(最高経営責任者)である米バークシャー・ハザウェイを通して、伊藤忠商事、三菱商事、三井物産、住友商事、丸紅の5大商社株を購入し、各社への持ち株比率はそれぞれ5%超となっている。

 この投資についてバフェット氏は声明を出し、長期的な投資であること、今後5社の持ち株比率を9.9%まで高める可能性があること、そして5社との協業も検討していることを明らかにした。「将来、お互いに利点があることをしたい」(同氏)としている。

ついに「日本買い」に動いた投資家のウォーレン・バフェット氏
(写真:AFP/アフロ)

 バフェット氏は、米アップルや米コカ・コーラ、米アメリカン・エキスプレスなど優良企業の大株主で、長年にわたって高い収益率を誇っている。1965年から2019年まで米国を代表する株式指数である「S&P500銘柄」は年平均で10%上昇したのに対して、同氏の投資先は年平均20%と上回っている。

 バフェット氏は20年以上にわたって、日本株への投資を口にしてきた。1998年に同氏は初めて日本メディアのインタビューに応じた。当時、筆者は「日経ビジネス」記者として取材したが「日本株は収益率が低い」と独自に調査をしていることを明らかにした。2000年にインタビューした際には「(ソニーの創業者である)盛田昭夫氏と交流がある」と明かし、「ソニー株には興味があるが、割高」と答えた。

 バフェット氏は成長性が高い割には株価が低い「割安株」への投資を基本信条とする。2000年代に質問した際にも「日本株について調べているが、日本人記者に詳しいことは言えない」と答えた。

 今回、投資した5大商社株のうち4社はPBR(株価純資産倍率)が1倍を割れるなど“解散価値”を示しており、バフェット氏は割安と判断した。今後、5大商社を通して日本企業との関係も深まると見られる。

 あまり知られていないのは、バフェット氏がSDGsやESGに関心が深い点だ。特に社会の安全や平和については、バークシャーの株主総会や記者会見でよく発言してきた。核兵器について「大量破壊兵器が話題になるが、米国が原爆投下をしたことは忘れてはならない」と警鐘を鳴らしたこともある。細菌や疫病について心配して「人々はもっとそうした関連の書籍を読んで備えなくてはならない」と訴えたこともある。

震災後には福島訪問

 日本の地域社会への関心の高さを象徴する一例が、2011年11月に東日本大震災で被害を受けた福島県いわき市への訪問だろう。自身の初来日であり、地元工場の視察をしたり、被災地の人々を励ましたりした。地元メディアの要請に応えて、「頑張っぺ、福島」と日本語でも応援した。