丸井グループは再生可能エネルギーの普及へDXを活用する。CO2排出削減への貢献をてこに顧客から継続して得る収益の拡大を目指す。

 「すごい! まさにデジタルトランスフォーメーション(DX)の時代だ」。小泉進次郎環境大臣は、その処理の速さに驚いた。小泉大臣が体験したのは、丸井グループが2020年9月に開始した電力契約の申し込みサービスだ。スマートフォンで電力の検針票を撮影し、自分の名前や住所などを画面で確認するだけで、みんな電力(東京都世田谷区)が提供する再生可能エネルギー由来電力への申し込みが完了する。所要時間は1分かからない。

6割の潜在需要掘り起こす

検針票をスマートフォンで撮影し、再生可能エネルギー由来電力への切り替えを試す小泉進次郎環境大臣(写真:丸井グループ)

 ESGを重視した経営で成長を続ける丸井グループは、気候変動対策の一環として再エネの導入を拡大している。18年7月には、事業活動で消費する電力を100%再エネで賄うことを目指す国際イニシアチブ 「RE100」に加盟した。既に、電力の50%を再エネに切り替えている。

 再エネを導入する企業は増えているが、一般的な電力に比べて割高のためコスト負担が増えるケースが多い。丸井グループも年間8億円のコスト増を見込む。ただし、同社が他社と大きく違うのは、再エネの導入を自社の収益増に結び付けようとしている点にある。

 約720万人いる同社のクレジットカード「エポスカード」会員に再エネ電力への切り替えを促すとともに、電力料金をクレジットカードで支払ってもらうことで収益化する。電気代の支払いにカードを利用してもらえば継続的に収益を得られ、生涯価値の拡大につながる。優良顧客化により同20億円の収益増を狙う。

 こうした増収策に加えて、将来想定される炭素税の回避や、電力小売り事業への参入による電力調達コストの削減効果を見込む。50年までの期間内に差し引き同15億円のプラスになると試算する。

 丸井グループがエポスカード会員に実施した調査では、約6割が「再エネを今後利用したい」と答えている。この潜在ニーズを取り込むための施策が、冒頭で紹介した電力契約の申し込みサービスだ。エポスカードの会員情報と連携して契約に必要な情報をみんな電力に送信する仕組みを構築し、簡単に手続きを終えられるようにした。

 丸井グループの青井浩社長は、「今後5年で100万世帯に再エネの利用を広げたい」と意気込む。ハードルは高いが、みんな電力と協力して実店舗とデジタルを組み合わせた販促を展開し、目標達成を目指す。

丸井グループの青井浩社長(上の写真左)は、100万世帯を再エネ電力に切り替えることを目指す
(写真:丸井グループ)