「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」が発足する。企業は、自然のリスクが財務に及ぼす影響の開示が求められる。

 2020年9月25日、国連総会のイベントで、「自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)」の非公式作業部会が発足した。自然関連のリスクと機会が企業の財務に与える影響を開示する枠組みを決めるタスクフォースで、「気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)」にならって構想された。

 TNFD設立を主導しているのは、国連開発計画(UNDP)と国連環境計画金融イニシアティブ(UNEP FI)、世界自然保護基金(WWF)、英環境NGOグローバルキャノピーだ。背景には、企業活動に不可欠な自然が急速に損なわれ、企業の財務に影響を及ぼし始めたことへの国際機関の危機感がある。世界経済フォーラムは、世界の総GDP(国内総生産)の約44兆ドルが自然に依存していると指摘。自然を増大させる経済に移行すれば年間最大10兆ドルの価値と、30年までに3億9500万人の雇用が生まれると発表した。

 海洋プラスチック問題や新型コロナウイルスなど自然に関わる新たなリスクの出現もTNFD発足を後押しした。金融機関がリスクを把握することで資金の流れをつくれる。

■ 自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)の概要
出所:TNFDの情報を基に日経ESG編集
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22年にフレームワーク開発

 TNFDの非公式作業部会には、仏BNPパリバや英スタンダード・チャータード銀行、仏保険大手アクサ、PRI(責任投資原則)、英国政府、フランス政府など複数の投資家や政府が参加している。タスクフォースは21年5月に正式に発足。今後2年かけて報告内容やデータに関するフレームワークを作る予定だ。

 UNEP FIの安井友紀氏は、詳細はこれからだと話しつつ、「TCFDでは、投資の財務リスク分析指標に予想最大損失額を使っている。TNFD も何らかの財務リスクの分析指標を使うだろう」と話す。

 三井住友信託銀行のフェロー役員の金井司氏は、あくまで私見とした上で、「TCFDのガバナンス、戦略、リスク管理、指標・目標の4つの財務的情報開示の骨子は踏襲され、シナリオ分析も必要になる」とみる。

 日本総合研究所理事の足達英一郎氏は、「金融機関はTNFDを、企業が依存する生態系サービスの把握とその断絶リスクを与信や銘柄判断に盛り込むのに活用できる。その際、サプライチェーン全体を評価することになるだろう」と話す。

 企業の自然への対応は、今後、財務リスクとして金融機関の評価の俎上に載せられるようになる。