(この記事は10月26日に執筆した)

英国開催のCOP26は、新型コロナ後初の首脳級による気候交渉の舞台となる。気温上昇の抑制へ、主要排出国の目標の引き上げに焦点が当たっている。

 英国グラスゴーで気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)が2021年10月31日開幕した。11月1、2日には英国のボリス・ジョンソン首相が呼びかけ、首脳級会合を開催。10月末時点で米国のジョー・バイデン大統領やフランスのエマニュエル・マクロン大統領、日本から岸田文雄首相の出席予定が報道された。

バイデン大統領らが参加

 首脳陣がCOP26の会場に集まった理由の1つは、今回までに2030年までの温室効果ガス削減目標を見直すことが、パリ協定で規定されているからだ。本来、1年前のCOPで議論されるはずだったが、新型コロナウイルス感染症の影響で延期されため、今回に持ち越された。

 気候変動交渉では、削減目標を見直すことを、気候変動を防止しようという「野心」を高めることと同義と捉えて「野心の引き上げ」と呼ぶ。1年前は、交渉の進展に強い影響力を持つ米国の大統領がドナルド・トランプ氏だった。そのため、COPを開催しても「野心の引き上げ」では成果が得られにくかったとみられる。

 21年の今、状況は一変した。目標の見直しには、各国の首脳など政治によるトップダウンの判断が必要になる。COP26会場にバイデン大統領をはじめとする首脳陣が集まることで「野心の引き上げにつながる、政治的な機運が高まりそうだ」(地球環境戦略研究機関 気候変動とエネルギー領域の田村堅太郎上席研究員)。

 21年4月にバイデン大統領が主催した気候サミットでは、米国が2050年のカーボンニュートラル実現に向けた30年目標の引き上げを表明し、英国、そして日本やカナダが相次ぎ30年目標を引き上げた。

■ G20メンバー国ではEUと8カ国が新目標を発表した
■ G20メンバー国ではEUと8カ国が新目標を発表した
■ G20メンバー国ではEUと8カ国が新目標を発表した
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バイデン米大統領はジョンソン英首相と2021年9月、米国で面会した。表は、G20メンバー国による30年目標見直し状況
(表の出所:地球環境戦略研究機関、写真:AP /アフロ)

 COP26では、排出量の多い20カ国・地域(G20)を中心に、30年目標の見直しを踏みとどまっている国の判断に注目が集まりそうだ。交渉を担うある政府関係者は、「バイデン大統領直属のジョン・ケリー気候問題担当大統領特使は、より多くの国に30年目標の引き上げを促すことを最重要課題と捉えている」と話す。

 特に先進国による野心の引き上げは、COP26の他の交渉議題にも影響しそうだ。途上国は、先進国には気候変動を引き起こした責任があるとし、排出削減の強化や、資金援助の拡大を強く求めている。野心の引き上げで一定の成果を見せなければ、途上国が他の議題への合意に対する協力を拒む恐れもある。

 COP26では他に、パリ協定の効果を高める詳細なルールを詰めることになっている。十分な成果を得られるかどうか、先進国と途上国が譲歩し合えるかにかかる。