ヒューリックが、経営目標に連動して利率が変わる新型社債を発行した。機関投資家は、着実なリターンが見込めるESG債券として期待する。

 不動産大手のヒューリックは2020年10月15日、日本初となる「サステナビリティ・リンク・ボンド」を発行した。ESG目標と発行条件が連動する社債で、発行額は100億円、発行年限は10年間である。大手資産運用会社や、地方の信用組合や信用金庫が投資を表明した他、大手生命保険なども買い手となった。

 現在、ESG関連債券には、グリーンボンド、ソーシャルボンド、サステナビリティボンドがあり、いずれも国際資本市場協会(ICMA)が原則を定めている。サステナビリティ・リンク・ボンドは、ICMAが20年6月に原則を定めたばかりの新たなESG関連債券である。

買いたくても買えない

 特徴は、企業がサステナビリティに関する目標を設定し、達成状況に応じて発行条件が変わるところだ。ヒューリックが設定した目標は2つ。25年までに事業で使う電力を100%再生可能エネルギーで賄う「RE100」の達成と、東京・銀座8丁目開発計画における日本初の耐火木造12階建て商業施設の竣工である。両方もしくはいずれかが達成できなかった場合、同社が投資家に支払う利息(クーポン)の利率が0.1%上乗せされる。サステナビリティ・リンク・ボンドは、グリーンボンドなどとは異なり、資金使途を限定しないのが特徴だ。今回は、これら2つの目標達成のための資金に充てる。

■ ヒューリックが発行したサステナビリティ・リンク・ボンドの概要
2025年までに自社で消費する電力を100%再エネ化し、「RE100」の達成を目指す。この目標達成のために、調達資金を太陽光発電設備の購入などに充てる。写真は、ヒューリックが埼玉県加須市に整備した太陽光発電施設
(写真:ヒューリック)
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 同社は20年、10年間の中長期経営計画をスタートさせ、その柱の1つとしてサステナビリティ重視の経営を打ち出した。今回設定した2つの目標は、その経営計画に基づいている。経営企画部長の宮山一輝氏は、「目標達成をコミットした。自社のサステナビリティの姿勢を示し、やり遂げることで投資家の信頼感につなげたい」と狙いを語る。