次はグループガバナンス

 こうしたグループ経営の問題は、日本のガバナンスの課題として、この先クローズアップされそうだ。

 東証は、22年4月に現在の市場一部や二部など、4市場ある構成を3市場に再編する計画を進めている。現在の市場一部に当たる「プライム市場」は、21年に改訂が予定さているコーポレートガバナンス・コードを「最低基準」としたい考えだ。

 改訂コーポレートガバナンス・コードの具体的な論点はまだ明らかになっていない。しかし、内閣官房が20年7月17日に示した「成長戦略フォローアップ」にヒントがある。

 そこでは、「コーポレートガバナンス改革の推進」として5つを挙げている。①事業ポートフォリオ戦略、②グループガバナンス、③監査の信頼性、④サステナビリティ、⑤社外取締役の質――である。

■ 次期コーポレートガバナンス・コードの改訂議論の論点
2021年の改訂を予定しているコーポレートガバナンス・コードの議論のポイント。事業ポートフォリオ戦略やグループガバナンスの強化などが含まれる
(出所:内閣官房「成長戦略フォローアップ」)

 ①の事業ポートフォリオと②のグループガバナンスは、まさに今回のNTTのケースと合致する。合併・買収などを通じた事業再編で、勝てる事業を取り込むと同時に、事業の切り出しも促していく。コード改訂の議論では、グループ全体を見通したガバナンスが大きな焦点となりそうだ。

 残りの3つも、グループガバナンスに欠かせない要素だ。グループガバナンスでは、利益相反を含めた問題を適切に管理するための監査役や社外取締役が欠かせない。子会社の取捨選択を判断し、適切なリスクをとって持続的な成長を促す役割が求められる。

 グループ経営に詳しい東京都立大学大学院経営学研究科の松田千恵子教授は、「親子上場のグローバルスタンダードは存在しない。日本企業はこれまで以上に、子会社を持つ意義を投資家に説明する必要に迫られるだろう」と指摘する。

 次のコード改訂では、グループを見渡した前例や形式にとらわれないガバナンスが求められそうだ。経営者はこれまで以上に、投資家を納得させる説明力が必要になってくる。